今回は作り手にとってのデザインから、エンドユーザーに届ける販売の場にとってのデザインということに視点を移して「魂動デザイン」を見てみた。片桐氏と話をしていると、デザインが顧客とのコミュニケーションツールとして機能していることを、販売の現場でも従来以上に感じる場面が増えている様子が伺えた。
中でも、「(魂動デザイン以降のクルマは)下取りで高い値段を付けられるようになりました」という言葉が印象的だった。
マツダにおける上流から下流までのデザイン活用はこれからが本番となる。間もなく、NDロードスターが発売されると、魂動デザインのラインアップが完成する。新世代店舗へのリニューアルに合わせて販売スタッフのユニフォームも変更するなど、入れ物や環境も整えつつある。こうして道具立てがそろってくれば、いよいよ次は「人」だ。メーカーの開発者から、販社の営業パーソン、メカニックまでの言葉や行動に、エンドユーザーが一貫性を感じれば、それがブランドイメージとして積み重なり、デザインはブランドへの期待感を連想するスイッチとなる。
魂動デザインのラインアップが「第2幕」に入るであろう今後、マツダのクルマやブランドイメージはどのように進化・深化していくだろうか。
林田浩一(はやしだ こういち)
デザインディレクター/プロダクトデザイナー。自動車メーカーでのデザイナー、コンサルティング会社でのマーケティングコンサルタントなどを経て、2005年よりデザイナーとしてのモノづくり、企業がデザインを使いこなす視点からの商品開発、事業戦略支援、新規事業開発支援などの領域で活動中。ときにはデザイナーだったり、ときはコンサルタントだったり……基本的に黒子。2010年には異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。最近は中小企業が受託開発から自社オリジナル商品を自主開発していく、新規事業立上げ支援の業務なども増えている。ウェブサイト/ブログなどでも情報を発信中。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.