2012年2月発売の「CX-5」以降、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」と新世代商品の販売が好調なマツダ。その商品力を支えるデザインテーマ「魂動(こどう)−Soul of Motion」を生み出した、同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏に、魂動デザインを導入した意図や、今後のマツダデザインの方向性について聞いた。
マツダは、2012年2月発売のSUV「CX-5」以降、2012年11月発売のフラッグシップモデル「アテンザ」、2013年11月発売のメインストリームモデル「アクセラ」、2014年9月発売のグローバルコンパクトカー「デミオ」と、同社が新世代商品と位置付ける新型車を次々と投入している。販売も好調だ。
2015年1月にはCX-5とアテンザの改良を行い、アクセラやデミオに採用した新技術を即座に反映することで、さらに商品力を高めた。そして、今後の発売を控えるコンパクトSUV「CX-3」や「ND型ロードスター」によって、新世代商品のラインアップがそろうことになる。
これら新世代商品の魅力を、新世代技術「SKYACTIV」とともに支えているのが、デザインテーマ「魂動(こどう)−Soul of Motion」(以下、魂動デザイン)だ。これまでのマツダ車にはなかった、一貫性を持ったデザイン展開は国内外から高い評価を受けている。この魂動デザインを生み出した、同社執行役員 デザイン本部長の前田育男氏に、魂動デザインを導入した意図や、今後のマツダデザインの方向性について聞いた。
MONOist 魂動デザインを採用した第1弾車両CX-5の発売から約3年が経過しました。デミオ、CX-3、そしてND型ロードスターにも魂動デザインが取り入れられ、そろそろ魂動デザインの「次」を見据えた活動をされているかと思います。どういった方向性で検討しているのでしょうか。
前田氏 マツダデザインは、魂動デザイン以前からも「動き」をテーマとしてきました。これはマツダのDNAそのものと言ってもいいでしょう。どうやって表現するかについては進化するかもしれませんが、「動き」という根本を変えるとマツダのクルマではなくなってしまいます。そこはブランドメッセージとして大切にしたいと考えています。
次のジェネレーションのデザインについては、現在仕込んでいるところです。そう遠くない将来には何か見せたいと思っています。
MONOist その次のジェネレーションでは、魂動デザインから大きな変化はあるのでしょうか。
前田氏 現在のジェネレーションから心掛けているのは「ブランドを作ろう」ということです。ブランドは一貫性があって継続しなければ作れません。だから、ある時期が来たらガラッと変える、ということはもうやらないつもりです。必ず、「進化もしくは深化」するという形を取りたい。変化する、変えるということはありません。
今はブランドの礎を作っているところです。こういった作業は1〜2年でできるものではありません。だからこそ、ここはじっと粘って行かなければならないでしょう。だからこそ、次のジェネレーションであっても、今向かっているベクトルを大きく変えることはないのです。
現在のジェネレーションでも、私がやりたいことを全部やり切っているわけではありません。まだまだやりたいことはいっぱいあります。「形に命を与える」という魂動デザインの哲学を基に、手法という名の引き出しを使って表現の範囲をどんどん広げていけると考えています。
MONOist 当初魂動デザインが出てきたときは、CX-5やアテンザのようなある程度大きなサイズの車両に適用するもので、より小型の車両に当てはめるのは難しいのではないかという意見もありました。しかし実際には、アクセラやデミオにもしっかりと魂動デザインが息づいています。このように小型車にも展開するという方向性は、当初から想定されていたのでしょうか。
前田氏 スタート時点から完璧に方向性がクリアだったわけではありません。ただ、現在のジェネレーションで一貫性を持ったデザインをやりたいとは考えていました。一貫性というのは、ブランドを表現する上で極めて重要です。クルマごとに変わってしまってはブランドを作ることはできません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.