車両デザインを通して、「デザイン」の意味や価値を考えていく本連載。第3回は、話題の軽オープンスポーツカーであるホンダの「S660」とダイハツ工業の「コペン」を取り上げる。同じ軽オープンスポーツカーではあるが、その開発コンセプトやデザインの方向性を見ていくと、実際にはほぼ競合しない可能性が高いことが分かる。
2015年3月末、ホンダの軽オープンスポーツカー「S660」が発売された。書店に並ぶ自動車雑誌はいずれも、S660のメディア発表会や試乗会のインプレッションに関する記事が並ぶ。S660に先行して2014年6月から販売されている、もう1つの軽オープンスポーツカーであるダイハツ工業の「コペン」も、S660の発売に合わせるかのように、「第3のモデル」の発売と先行予約がアナウンスされた。
そして、軽自動車枠ではないが、マツダのオープンスポーツカー「ロードスター」の新モデルも2015年6月ごろに販売開始とアナウンスされており、同年3月にはWebサイトでの先行商談予約も行われた(現在は既に締め切られている)。国内市場で、オープンスポーツカーの新モデルが続くのは久々のことだ。
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そこで今回は、ホンダのS660について、軽オープン2シーターという意味で共通するダイハツ工業のコペンと比較しながら見ていきたい。
オープンカーのボディを作る場合、大まかに分けると2種類(もう少し細かくすると3種類)の作り方がある。
既存車種の派生モデルとして、クローズドボディの車両の屋根をカットしてオープンモデルをラインアップする。いわゆる「切り飛ばし」なので、ボディのデザインはベース車種から大きくは変わらない。フェラーリの「458スパイダー」のようなハイエンドのクルマから、MINIブランドやsmartブランドのカブリオレのように小さくカジュアルなクルマまで、世界にはさまざまなオープン派生モデルが存在する。
1a)の切り飛ばしと比べると、アッパーボディを専用で作るのでデザインの自由度も高い。コペンは、初代モデルも、2代目となる現行モデルもこの方式だ。
そのクルマ専用にシャシーもボディもゼロから作り上げる方法。マツダのロードスターやホンダの「S2000」、今回のS660はこちらの作り方である。
それではここから、S660とコペンを見比べてみよう。
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