　ヤマザキマザックは「第27回日本国際工作機械見本市（JIMTOF 2014）」（2014年10月30～11月4日、東京ビッグサイト）において、新CNC装置「MAZATROL SmoothX」（マザトロール・スムースエックス）や世界初となる新技術を採用した次世代複合加工機を含む、最新鋭の工作機とレーザー加工機などを出展した。

　MAZATROL SmoothXは新たに19インチのタッチパネルを採用するなど操作性の飛躍的な向上、加工時間の大幅な短縮を実現する。マルチタスキングマシン（複合加工機）シリーズの「INTEGREX i」シリーズ、「INTEGREX e」シリーズ、そして5軸加工機「VARIAXIS」シリーズ、「VORTEX i」シリーズに搭載する（関連記事：ヤマザキマザック、複合加工機用のCNC装置「MAZATROL SmoothX」を開発）。

　複合加工機「INTEGREXシリーズ」は豊富なラインアップを誇る。重化学工業などの重厚長大産業に対応したeシリーズをはじめ、同時5軸加工のできる高機能のiシリーズ、複合加工を行う刃物台と深穴内径加工に特化したラムヘッド装備の双頭マシンのe-RAMTECシリーズ、スピードとコストを兼ね備えたjシリーズまで幅広い機種群でさまざまな複合化のニーズに応える。

複合加工機は用途別にきめ細かなシリーズをラインアップ（クリックで拡大）

積層造形機能を持つハイブリッド加工機

　新製品のi AMシリーズは3D積層造形機能をハイブリッド融合させた次世代の工作機械。旋削およびマシニングの複合加工、さらには3D積層造形を自由に組み合せることにより、少ロット生産のリードタイムを飛躍的な短縮、部品設計や加工工程の根本的な見直しを可能にする異なる金属の接合などを実現した。価格は9900万円となるが、従来同社が提唱してきたDONE IN ONE（ダン・イン・ワン：工程集約）コンセプトをさらに進めている。ブース担当者は「切削と積層を一緒に行うことで、切削だけで同じワークを作る場合に比べて、必要な金属量を抑えることができる他、異種金属を組み合わせたワークなどを製作できる」と話している（関連記事：ヤマザキマザック、金属3Dプリンタに参入――積層と切削を統合した加工機を発表）。

　また，大物部品加工用複合加工機 e シリーズでも生産性を大幅に向上させる複合加工機「INTEGREX e-1600V/10」を発売した。複数台の機械により各工程別に加工されていた大物部品を、一台で全工程を完結（DONEIN ONE）し、大幅に生産性を高める。MAZATROL SmoothX を搭載し、高機能、高精度に加え、操作性、保守性に優れ、環境負荷も低減した。無人化・自動化やシングルパレット仕様など、ユーザーのさまざまな要望に応えるオプション展開も豊富にそろえている。

　5軸加工機では同時5軸加工・高精度多面加工マシニングセンタに旋削機能を付加した「VARIAXIS i-800T」を発売した。800Tには高速・高精度化したロータリーテーブル（C 軸）に旋削機能が追加され、旋削加工から同時5軸加工・高精度多面加工までワンチャッキングで連続加工が可能となり、さらなる工程集約による生産性向上を実現する。

「摩擦撹拌接合」で異種金属を接合

摩擦撹拌接合のデモの様子（クリックで拡大）

　この他、ハイブリッド複合加工機の第2弾として登場した、次世代の金属接合技術である“摩擦撹拌（かくはん）接合”を世界で初めて切削加工と融合させたハイブリッド複合加工機「VTC-530/20 FSW」も披露。摩擦撹拌接合は摩擦熱で軟化させた材料を撹拌して接合する金属接合技術で、溶接よりも低い温度で溶接よりも強い強度で異種金属を接合することができることが特徴だ。

　その技術を当社の立型マシニングセンタに融合させることで、切削加工から接合までを一台で行うことができる。ブース担当者は「既に航空機関連業界で実績がある。その他の業界にも展開を進めていく」と述べている。