検査装置が「考える」時代へ オムロンがNVIDIAとの協業で広げるAI検査の新技術FAニュース(1/2 ページ)

オムロンは、NVIDIAとの協業により進めてきた検査装置の高精度化と関連業務の簡易化に関する技術の概要について紹介した。

» 2026年07月17日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 オムロンは2026年7月16日、NVIDIAとの協業により進めてきた検査装置の高精度化と関連業務の簡易化に関する技術の概要について紹介した。NVIDIAの産業用デジタルツインプラットフォームである「Omniverse」との連携で、電子部品の反りのシミュレーションや隠れた因果関係の究明、3次元画像の言語での読み解きなどを実現し、今後、実用環境での展開に向けた開発を進める。

基板検査装置は注力13事業の1つとして強化

 オムロンの検査システム事業本部では、電子基板の外観検査装置(AOI)や3D-CT X線検査装置(AXI)などを展開。世界でも高いシェアを保有している。オムロンの中期ロードマップ「SF 2nd Stage」においても基板検査装置事業は、注力13事業の1つとして強化を進めている。ここ最近では、AI(人工知能)関連需要の高まりから半導体業界向けの検査装置のニーズが高まり、さまざまなラインアップの拡充を進めている。

photo 半導体業界向けのオムロンの検査アプリケーション[クリックで拡大] 出所:オムロン

 その中で、オムロンは、NVIDIAのデジタルツインに関する技術協業を2022年に開始し、これまで基板検査装置の内部にある基板の高速/高精度な仮想空間の再現など、さまざまな取り組みを進めている。また、2025年3月の「NVIDIA GTC 2025」では、Omniverseとオムロンのオートメーションソフトウェア「Sysmac Studio」を連携し、装置のデジタルツイン化を実現し、自然言語を用いて現場で活用するデモなどを行っている。

photo オムロンではNVIDIAとの協業で検査装置と現場担当者がやりとりしながら検査を進める世界を描く[クリックで拡大] 出所:オムロン

 今回は、これらの取り組みをオムロンの外観検査装置および、X線検査装置の具体的な機能として落とし込んだものとなる。現在実証中のソリューションは以下の5つとなる。

AOIとAXIの重ね合わせによる不良要因究明

 1つ目が、異なる工程検査画像をNVIDIA Omniverseで重ね合わせ、不良の実態や因果関係を明確化するソリューションだ。具体的には、AOIの検査結果とAXIの検査結果を重ね合わせることで、部品の状況やはんだ付けの状況を把握し、不良の要因特定を簡易化する。

 複雑化する電子基板や部品は、層間の微細な接続不良や欠陥の要因を見抜くことは非常に難しいが、従来はさまざまな検査画像を人の目で見て判断し、要因を特定する必要があった。AXI検査画像だけでは、はんだの接合状態は分かるが、どの部品のどういう状況が影響しているのかを把握しにくい。一方で、AOIの検査結果だけでは内部の接合状態は分からない。これらを組み合わせることで、不良の状態を正確に把握できるため、工程改善に向けたアクションへ移る時間を短縮できる。

photo AOIとAXIの重ね合わせによる不良要因究明[クリックで拡大] 出所:オムロン

反り問題の解決

 2つ目が、基板に載せる部品の反りを可視化し、シミュレーションなどにより、設計改善につなげるソリューションだ。基板に載せる部品は、熱膨張係数の差により、反りや応力が集中しやすい箇所が発生し、はんだクラックやオープン不良が生まれるケースがある。従来のAXIの結果だけでは、はんだの異常は把握できるが、反りによる影響であるかどうかを判別できなかった。

 それを、AXIとAOI情報をNVIDIA Omniverseにより統合することで、チップや基板の異常を視覚的に捉え、反りやたわみ、はんだの形状異常を高精度で再現し、確認できる。また、これらを蓄積することで、シミュレーションなども行えるようになり、設計フェーズからの品質改善などにつなげることができる。

photo 反り問題の解決[クリックで拡大] 出所:オムロン
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR