製造現場のIoT化の基盤として普及が進む国際標準規格「IO-Link」。しかし現場では、エンジニアたちが煩雑な設定や割り付け作業に追われていた。オムロンのIO-Linkマスター「GDシリーズ」は、そうした現場のエンジニアリング工数の削減を目指して開発された。想定を上回るヒットを記録しているという同製品の企画背景、特徴などを聞いた。
センサーやアクチュエータなどの末端機器と、上位のPLC(プログラマブルロジックコントローラー)などをデジタル信号でつなぐ国際標準規格「IO-Link」。製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT(モノのインターネット)化の基盤として国内でも普及が進んでいる。
そうした中、オムロンが2026年2月に発売したIO-Linkマスターユニット「GDシリーズ」が想定を上回るペースで販売を伸ばしているという。その背景などを商品企画担当者に聞いた。#目次#
近年、グローバルで普及しているIO-Linkだが、オムロンでは2016年に初めてIO-Link対応の光電センサー、近接センサーおよび通信ユニットを発売した。現在では約1500機種のラインアップがあり、設定が求められる主要な汎用センサーはほぼ全てIO-Linkタイプをそろえている状態だ。
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部の津藤雄大氏は「当初はアーリーアダプターを中心に導入されたが、直近の2〜3年で国内では一段と普及が進んだ印象だ。IoTやDXという観点よりも、デバイスの設定など日頃の手間をなくすことができるという価値にユーザーが気付き始めた」と語る。オムロンの調べでは、省配線やデバイス設定工数の削減、センサーの情報化を導入目的として挙げるユーザーが多かったという。
IO-Linkでは、非シールドの標準的なセンサーケーブル1本で、ON/OFF信号とプロセスデータやデバイスデータ、イベントデータといった情報を同時にやりとりできる。また、専用のPCツールと組み合わせることで、センサーを1台ずつ手作業で設定する手間も省ける。
「製造業の人手不足が深刻化する中で、現場での設定や配線といったエンジニアリングを簡単にしたいというニーズが非常に多い」(オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部の山本佳英氏)
現場工数の削減が期待されるIO-Linkだが、実際の導入や運用に当たっては多くの課題も存在した。
従来のセンサーなら配線するだけで使用できたが、IO-Linkを導入する場合、各デバイスメーカーのWebサイトから「IODDファイル(構成情報を記したファイル)」を検索、ダウンロードして割り付ける作業が必要になる。また、IO-LinkマスターからPLCに接続した際にも、何のデータがどこのアドレスに入っているか、各デバイスメーカーのインデックスリストを確認しながら各デバイスを割り付ける作業が生じる。
立ち上げ時はPCツールを使って設定できるものの、現場に大量のセンサーが存在する場合は設定に時間がかかってしまう。現場でエラーなどのトラブルが発生した際、原因の特定や交換したセンサーの再設定などにもエンジニアに負担がかかっていた。「こうした設計、立ち上げ、保守という全てのシーンのリードタイムを短縮するソリューションとして製品化したのがIO-Linkマスターユニット『GDシリーズ』となる」(山本氏)。
GDシリーズおよびPCツールである「Wave Inspire HUB」を活用することでセンサーの設定/調整の工数を削減でき、現場の負荷低減につなげることができる。
本体は、16チャネル対応ながらサイズは110×31.4×63mmで、標準的なIO-Linkマスター比で2倍のI/Oデバイス接続が可能となっている。IO-Linkデバイスに加えて、従来のセンサーインタフェースであるNPN/PNP入出力機器にも対応。LCD(液晶ディスプレイ)表示と操作ボタンで、PCやPLC、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)を使わずに、デバイスのパラメータやエラー状況などの設定の確認、変更も可能だ。
次に、設計や立ち上げ、保守の手間を省く、それぞれの機能の詳細を見ていく。
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