安川電機が熟練工の「感覚」をAIロボットで再現、カメラで見ながらアーク溶接:2026国際ウエルディングショー

安川電機は「2026国際ウエルディングショー」において、同社のAI(人工知能)ロボット「MOTOMAN NEXT」による熟練型アーク溶接のデモンストレーションを披露した。

» 2026年09月28日 06時45分 公開
[長沢正博,MONOist]

 安川電機は「2026国際ウエルディングショー」(2026年9月16〜19日、東京ビッグサイト)において、同社のAI(人工知能)ロボット「MOTOMAN NEXT」による熟練型アーク溶接のデモンストレーションを披露した。

カメラとAIで熟練の細やかなコントロールをロボット化

安川電機が会場で披露したデモンストレーション[クリックで再生]

 近年、溶接業界でも人手不足が深刻化しており、ロボット活用のニーズが高まっている。ただ、建機や船舶、橋梁、大型プラントなどの溶接現場では、ワークのバラつきが大きく、熟練溶接士の感覚的な調整に依存してきた。

 通常、人が手溶接を行う場合、継手の形状や溶接条件に応じて、溶融池を見ながら細かな制御を行っている。熟練型アーク溶接ロボットでは、人が行っているような最適なコントロールをロボットで再現することを目指している。

 今回のデモでは、協働ロボット「MOTOMAN NEXT-NHC12」の先端に取り付けたカメラで、溶融池の状態をリアルタイムに撮影。ロボットコントローラー内の自律制御ユニットに実装された溶接用AIモデルが画像処理を行い、溶融池幅を認識して指定した幅になるようにロボットの動作や速度を自動で修正する。これによって、ワークの状態に応じて熟練工が感覚的に調整している部分をロボットで再現している。

協働ロボット「MOTOMAN NEXT-NHC12」 協働ロボット「MOTOMAN NEXT-NHC12」[クリックで拡大]

 カメラは、強烈なアーク光が発生する環境下でも溶融池などを正しく認識できるよう光学的な工夫が施されている。MOTOMAN NEXT-NHC12は、ダイレクトティーチボタンで基礎となる溶接動作を人が直接教えることも可能だ。

 デモで使用したワークは板厚12mmのレ形開先で、一定ではない隙間が意図的に設けられている。それでも、熟練型アーク溶接ロボットがカメラを通して溶融池幅などを認識して制御し、溶接することに成功していた。

 安川電機では今後、溶接後のビード外観検査といったポストプロセスとの設備連携を進め、得られた溶接結果をAIモデルへフィードバックすることで、自律的に進化する溶接システムの確立を目指す。

熟練型アーク溶接ロボットのサンプルワーク 熟練型アーク溶接ロボットのサンプルワーク[クリックで拡大]
溶融池制御なし(左)と溶融池制御あり(右)のサンプル[クリックで拡大]

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