富士通は、ファナック、安川電機、川崎重工業、NVIDIAとともに東京都内で記者会見を開き、フィジカルAI分野における事業検討を開始したことを発表した。事業の概要とともに、会見における各社トップの発言を紹介する。
富士通は2026年7月16日、ファナック、安川電機、川崎重工業(以下、川崎重工)、NVIDIAとともに東京都内で記者会見を開き、フィジカルAI(人工知能)分野における事業検討を開始したことを発表した。事業の概要とともに、会見における各社トップの発言を紹介する。
NVIDIAの技術を取り入れながら、デジタルとフィジカルをつなぐソブリン(主権)性を確保した協調制御基盤の開発を推進し、製造、物流、ヘルスケアを含むさまざまな産業分野におけるフィジカルAIの社会実装を加速させる。
この協調制御基盤はまず2026年9月に、AIサーバやスーパーコンピュータを製造する富士通の笠島工場(石川県かほく市)に実装して試験運用し、2026年内にVer1として提携する各社に展開する。そのフィードバックを得て、2027年にVer2をリリースする。
左からNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏、富士通 代表取締役社長 CEOの時田隆仁氏、ファナック 代表取締役社長 兼 CEOの山口賢治氏、安川電機 副会長執行役員の小川昌寛氏、川崎重工 代表取締役社長執行役員 橋本康彦氏[クリックで拡大]各産業分野でのフィジカルAIの社会実装のイメージは次の通りだ。
工場向けソリューションでは、生産変動要因と製造現場状況を加味した工場の生産活動全体の計画最適化と現場適応の自律化により、製造業に対し、さらなる生産性向上とフレキシビリティを実現する。
小売/物流向けソリューションでは、リアルタイムの販売/在庫状況を加味した物流計画をもとに、搬送業務を自動化することで、物流の省人化/自動化を実現する。
ヘルスケア向けソリューションでは、病院内業務システムからの指示を起点に最適化された計画の下、ロボットが自律的にタスクを実行することで、ロボットによる医薬品や検体の院内搬送の自動化や、外来患者の受付、案内サービスを実現する。
また、各社が持つAI、ロボティクス、制御、シミュレーション、データ分析などの先端技術を理解し、フィジカルAIの共通基盤となるソフトウェアプラットフォームやハードウェアインタフェースを開発する。これにより、さまざまなロボットや設備間での連携を容易にし、より高度な自律制御システムの実現を目指す。一方で、サイバー攻撃、システム全体のダウンや誤作動、機密情報の漏えいなどのリスクも高まるため、当社はソブリン性を確保した協調制御基盤を開発する。
ここからは、会見における各社トップの主要な発言を紹介する。
私たち5人は、自社のビジネス領域のみならず、産業全体ひいては世界の持続的な発展を「自分ごと」として捉えて経営判断を行っていくという同じ価値観を共有している。
ファナック、安川電機、そして川崎重工という日本を代表するロボットメーカーの皆さまとともに、NVIDIAの技術を取り入れたフィジカルAIの社会実装に向けた事業の検討を開始する。
ロボットは工場や物流、そして医療や介護といったヘルスケア領域をはじめとして、社会における本格的な活用が期待されている。それには、これまで人が担ってきた作業の単なる置き換えではなく、ロボットがいかに人と同じ空間で、人と協働して協調していけるかということが実装の大前提となっている。
今回のスキームにおいては、富士通がリード役となる。そして、各業務のアプリケーションとロボット制御技術をシームレスにつなぐ協調制御タスク計画基盤を、NVIDIAの技術も取り込みながら構築していく。
これによって、ロボットが業務プロセス全体で、最適化された計画に沿って自律的に動くようになる。そして、各現場での圧倒的な生産性向上が可能となる。この基盤は、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」フィジカルOSとして、賛同いただける企業や研究機関などとともオープンなプラットフォームとして提供する。
2025年10月、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏と一緒に登壇し、フィジカルAIの計画について発表した。その際にも、成長するプラットフォームだという話をし、安川電機の名前を挙げた。今回、ファナック、川崎重工を加えて、同じ方向に向かって進んでいく。
Fujitsu KozuchiにはすでにNVIDIAの優れた技術を搭載しており、提供も始まっている。これから5社のタッグによってより進化させ、大きな価値を生み出していきたい。
フィジカルAIを社会のあらゆる領域に拡大していくことで、社会全体での実装を目指していく。今回の5社での取り組みは、世界におけるロボットの本格的な実装をけん引する大変重要な1歩となる。そして、産業界に新たな可能性をもたらすものだと確信している。人とロボットが安心で安全に協働する、より豊かな社会の実現に貢献していく。
JV(ジョイントベンチャー)などの可能性は、否定しないが、まだ事業検討をこれから開始するところだ。その可能性も含めてしっかりと検討していきたいが、基本的には富士通のビジネス、そして各社のビジネスの取り組み方によっていろいろな組み合わせ方があると考えている。
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