オムロンの制御機器事業が「再成長」に転換、M&Aで欧米顧客基盤を強化へ製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

オムロンは、2026年3月期の連結決算を発表した。生成AI関連需要を追い風に主力の制御機器事業がけん引し、増収増益を達成した。電子部品事業の売却など構造改革で創出した資金を基に、制御機器領域のM&Aも計画する。

» 2026年05月14日 07時15分 公開
[長沢正博MONOist]

 オムロンは2026年5月13日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、制御機器事業を中心に増収増益を果たした2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の決算について説明した。なお、2027年3月期より会計基準において国際財務報告基準(IFRS)を適用するため、2027年3月期における各事業の前期比はIFRSベースに遡及修正した数値との比較となる。

生成AI需要をつかみ制御機器事業が再成長、2026年3月期は増収増益

 米国のカーライルグループに売却する電子部品事業を除いた、2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.3%増の7674億円、営業利益は同12.1%増の599億円となり、増収増益を達成した。なお、電子部品事業を含んだ実績は、売上高が8682億円、営業利益が636億円だった。

2026年3月期の実績 2026年3月期の実績[クリックで拡大]出所:オムロン

 成長をけん引したのは制御機器事業だ。売上高は2026年3月期の前期比12.3%増の4095億円、営業利益は同18%増の428億円となった。オムロン 代表取締役社長 CEOの辻永順太氏は「売り上げを再成長へと転換することができた」と強調した。

 EV関連投資は停滞したものの、生成AI(人工知能)関連需要が拡大しており、日本や中国を中心に先端半導体やデータセンター向け二次電池の設備投資に伴う需要を確実に取り込んだ。X線基板検査装置(AXI)の需要も広がった。

 また、グローバルでの顧客基盤が回復しており、継続的に進めている各エリアの顧客ニーズに対応した新商品を計画通りに開発/投入することで、売上高は前期比で大きく増加した。

 2027年3月期についても、堅調な事業環境を見込む。半導体業界では、生成AI関連需要を背景に、先端半導体の設備投資がグローバルで拡大。中国でも半導体の国産化に向けた装置メーカーの投資が続くと見る。「2027年3月期の第1四半期もまだ非常に強い手応えを得ている」(辻永氏)。

2027年3月期の事業環境認識 2027年3月期の事業環境認識[クリックで拡大]出所:オムロン

 データセンター需要を背景に、特にアジア圏でX線基板検査装置の旺盛な需要が継続すると見込む。EVに関しては、中国、日本を中心に停滞していた設備投資が緩やかに回復すると予測する。新たに導入したカスタマーベースマップについても確実に成果が上がっており、代理店との連携強化でより広く需要を捉えていく。

 辻永氏は「半導体や二次電池業界で求められる高度な制御は、まさにオムロンが強みを持つ領域であり、業界特化型ソリューションをより多くのお客さまに展開していく。お客さまと共に作る革新アプリケーションは高度な制御を実現するオムロンならではの価値と競争力を備えており、足元でも半導体業界を中心に多くの商談をいただいている」と話す。

 2027年3月期に新たに22機種の新製品を投入する。2025年に投入したデータフローコントローラは、他社製コントローラなどからもデータを収集できるため、製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗り好評の他、中国では投入した新製品によってシェアを奪い返す状況も生まれているという。「各地域の需要を捉えた競争力ある商品をグローバルに展開し、シェア拡大につなげる」(辻永氏)。

これまでの取り組みの成果 これまでの取り組みの成果[クリックで拡大]出所:オムロン
オムロンが図る事業機会の獲得 オムロンが図る事業機会の獲得[クリックで拡大]出所:オムロン

 電子部品事業の売却や既存事業のキャッシュフロー拡大によって創出した資金は、中核である制御機器事業を中心とした注力事業へ優先的に投資する。特に、制御事業ではM&Aを進め、デバイス領域において顧客基盤の強化に直結する案件を厳選する。

「データビジネスへの転換に向けた能力も必要だが、欧米における顧客基盤の獲得、強化を最優先に検討している。われわれにとっての大きなビジネスチャンスは工場自体にAIが入っていくことだ。工場がより自律化して自身で生産性を高めたり、属人化されていた作業が自動化されたりしていく。そこに大きなビジネスチャンスがある。基本となるのはデータであり、デバイスを強化し、そこから得られるデータを活用してAIの需要につなげていきたいと考えている」(辻永氏)。

 2027年3月期(IFRSベース)では制御機器事業の売上高は前期比7.5%増の4400億円、営業利益は同19.8%増の440億円を計画する。その中でも、X線基板検査装置の売上高は同30%超、新商品売上高は280億円超などを目標としている。

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