産業向けメディアのMONOistはライブ配信セミナー「MONOist AI Forum 2026 本格実装フェーズに入った製造業AI、現場課題解決の最前線」を開催した。本稿では、「DXで進化するプラント施設保全業務〜CPS化による現場革新〜」と題してマツダが行った基調講演の一部を紹介する。
アイティメディアにおける産業向けメディアのMONOistは6月3〜4日にライブ配信セミナー「MONOist AI Forum 2026 本格実装フェーズに入った製造業AI、現場課題解決の最前線」を開催した。
本稿では、「DXで進化するプラント施設保全業務〜CPS化による現場革新〜」と題してマツダ 技術本部 プラント技術部の福島翔吾氏が行った基調講演の一部を紹介する。
マツダのプラント技術部は、生産技術系の部門の中で、唯一自動車造りを行っていない部署となっている。主な業務としては建物やインフラの建築/維持管理、電気/蒸気/エアーなどエネルギーの供給、環境保全を担当している。
今回の講演では、エネルギーを安定供給する火力発電所であるエネルギーセンターにおける取り組みを解説した。
マツダでは、自動車の製造工程で使われる電力を、工場内に設けられたエネルギーセンターでまかなっている。エネルギーセンターは工場全体に電気/蒸気を供給する大規模な石炭火力発電所として、広島の本社工場内と山口県の防府工場内の2カ所に設置されている。福島氏によれば、自動車メーカーで大規模な石炭火力発電所を持つのは同社だけだという。
ただ、このエネルギーセンターも、現在は少子化による人手不足や人材育成、設備老朽化や施設補修費/燃料費の高騰など、さまざまな課題を抱えている。さらに、世界的な共通課題であるカーボンニュートラルへの挑戦も求められている。現状のリソースでカーボンニュートラルを進めていくには、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)を用いた業務効率化によって、必要な工数を生み出さなければならない。
そこで、プラント技術部では、現場発のDXチャレンジを進め、センサーやロボット、AIなどのデジタル技術を活用し、現地点検ゼロを目指している。
エネルギーセンターは地上9階分の高さがあり、毎日現場に赴いて各種の点検を実施する際は階段を昇降したり、広大な敷地を歩いたりしなければならない。福島氏は「階段を昇降する際の危険性や体力的な負担が大きい」と話す。
保全業務が個人のスキルと経験頼りに運営され、経験の違いによって点検品質に差異が発生する懸念もある。こうした課題に対して、現場として目指す姿を「ただ効率化、遠隔化するだけでなく、データに基づいたバラつきのない予知/予兆保全へのシフトと、肉体的、精神的な負担がない安心安全な職場」(福島氏)とした。
そして、目指す姿の実現に向けて、具体的に業務効率化を達成するためのSTEP 0〜4までの5段階の活動ステップを策定した。
STEP 0では、活動の土台づくりとして目的/目標を設定し、スケジュールの立案、対象の決定、対策の検討を行った。STEP 1〜2では、人が現場に向かわずとも現場の情報を取得できるように、計器の読み取りと周囲状況確認の遠隔化に取り組んだ。
そして、STEP 3で1〜2で取得したデータを活用して異常判定の自動化につなげている。さらにSTEP 4では発見した異常に対して補修工事手配資料を、AIで効率的に自動作成できるようにする取り組みなどを推進している。
福島氏は各STEPでの取り組み、考え方を詳細に説明した。
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