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センサーで壁の有無を判断し、迷路内を自律走行!!マイクロマウスで始める組み込み開発入門(14)(3/3 ページ)

» 2013年06月03日 09時30分 公開
[三月兎,MONOist]
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 えみちゃんも、だいぶマイコンの気持ちが分かってきたようですね。それでは、いよいよ迷路を自律走行するプログラムを作成していきましょう。

 本稿では、「右手法」で迷路内を走るプログラムを作成します。しかし、実際は、連載第1回でも説明した通り、マイクロマウス競技の迷路は中央にゴールがあり、迷路内に回廊もあるため、基本的に右手法ではゴールに到達できる可能性はほとんどありません。

 ここでは機体調整のために、“あえて右手法を採用”することにします。ゴールの概念は持たずに、迷路内を走り回ります。この右手法のロジックでどんな迷路も自由自在に走行できることを検証してから、迷路探索ロジックを搭載する方が、問題が発生したときに原因の切り分けが容易になります。

 迷路走行(右手法)のフローチャートは画像2の通りです。


迷路走行(右手法)のフローチャート 画像2 迷路走行(右手法)のフローチャート

 まず、走行中に壁の有無を判断するための関数を「ctrl.c」内に作成します(ソースコード5)。前壁は2つのセンサーで見ているので、前右センサーと前左センサーの平均値が閾値を超えているかをチェックします。

/************************************************/
/*  右壁チェック            (ctrl_wall_chk_r) */
/************************************************/
/*  右センサーの値を取得し、閾値を超えているか  */
/*  チェックする                                */
/*----------------------------------------------*/
/*  IN :int i_threshold … 閾値                 */
/*  RET:int             … WALL_OFF(0):壁なし*/
/*                         WALL_ON(1) :壁あり*/
/************************************************/
int ctrl_wall_chk_r(int i_threshold)
{
    //右壁チェック
    int ret;
    //右センサーの値が閾値を超えているかチェックする
    if (G_SensorR > i_threshold)
    {
        ret = WALL_ON;                //壁あり
    }
    else
    {
        ret = WALL_OFF;               //壁なし
    }
    return ret;
}
 
/************************************************/
/*  前壁チェック            (ctrl_wall_chk_f) */
/************************************************/
/*  前右、前左センサーの値を取得し、平均値が閾値*/
/*  を超えているかチェックする                  */
/*----------------------------------------------*/
/*  IN :int i_threshold … 閾値                 */
/*  RET:int             … WALL_OFF(0):壁なし*/
/*                         WALL_ON(1) :壁あり*/
/************************************************/
int ctrl_wall_chk_f(int i_threshold)
{
    //前壁チェック
    int ret;
    //前右センサー、前左センサーの平均値が閾値を超えているかチェックする
    if ((G_SensorFR + G_SensorFL) / 2 > i_threshold)
    {
        ret = WALL_ON;                //壁あり
    }
    else
    {
        ret = WALL_OFF;               //壁なし
    }
    return ret;
}
ソースコード5 周囲の壁の有無をチェックする関数を作成。左壁チェック関数は、右壁と同様に作成する

 フローチャートに従って、モード6に迷路走行のプログラムを作成します(ソースコード6)。

/************************************************/
/*  モード6の処理                (app_mode6)  */
/************************************************/
/*  迷路走行 右手法                             */
/************************************************/
void app_mode6(void)
{
    //迷路内を右手法で走行する
    int wall_right;               //右壁の有無
    int wall_left;                //左壁の有無
    int wall_front;               //前壁の有無
    //MTUの周期を最低速度に設定する
    ctrl_mtu(MIN_SPEED, MIN_SPEED);
    //モーター励磁ON
    ctrl_mtr_pw(MTR_ON);
    //0.5秒wait
    ctrl_wait_ms(500);
    while(1)
    {
        //wait
        ctrl_wait_ms(100);
        //1区画進む
        ctrl_mtr_forward(ONE_BLOCK, NORMAL_SPEED);
        //横壁をチェックする
        wall_right = ctrl_wall_chk_r(WALL_THRESHOLD_R);        //右壁チェック
        wall_left  = ctrl_wall_chk_l(WALL_THRESHOLD_L);        //左壁チェック
        //前壁をチェックする
        wall_front = ctrl_wall_chk_f(WALL_THRESHOLD_F);        //前壁チェック
        //wait
        ctrl_wait_ms(100);
        //進行方向を決定(右手法)
        if(wall_right == WALL_OFF)
        {
            //右壁なし ⇒ 右に曲がる
            ctrl_mtr_turn(90);
        }
        else if(wall_front == WALL_OFF)
        {
            //前壁なし ⇒ そのまま
        }
        else if(wall_left == WALL_OFF)
        {
            //左壁なし ⇒ 左曲がる
            ctrl_mtr_turn(-90);
        }
        else
        {
            //袋小路 ⇒ 戻る
            ctrl_mtr_turn(180);
        }
    }
    //モーター励磁OFF
    ctrl_mtr_pw(MTR_OFF);
}
ソースコード6 「app.c」に迷路走行のプログラムを作成する。ctrl_wait_ms関数は、モーターの動きが安定するのを待つために適宜呼び出している

 それでは、プログラムをビルドして、迷路内でマイクロマウスを走らせてみましょう!

>>ソースコード(Mouse201306.lzh)のダウンロードはこちら

動画2 右手法で迷路内を走行するPi:Co Classic

えみ

センパイ! センパイ! マイクロマウスが迷路を走りましたよっ!!


北上

うん。やったね!


えみ

あっ! きゃー!! 壁にぶつかっちゃう!

……。

……あーあ。


北上

まぁ、最初にこれだけ走れば上出来だよ!


えみ

10秒足らずで壁にぶつかるようじゃ、ゴールまで走るのは無理ですね……。どうしたらいいんでしょう?


北上

今は、まだ“走行中の制御”をしていないからね。

モード6のソースコードを見て、気が付くことないかな?


えみ

……。1区画分進んだときに壁の有無を判断してますね。


北上

そう。ということは?


えみ

えっとぉ~。「CMT1」で0.25秒ずつ割り込みしている意味がないんじゃないかな?


北上

ピンポーン! これから走行中に左右の壁を見ながら走るようにすれば、もっと安定して走るようになるよ。


えみ

ヤッター! じゃあ、すぐにプログラム組みましょう!!


北上

そっか。休憩用にシュークリームを買っておいたけど……。

プログラムの修正を先にやろうか!


えみ

いや、シュークリームを先にお願いします!!





 連載14回目にして、ようやくマイクロマウスが迷路内を自律走行しました(パチパチ~!)。マイクロマウスが走れるようになると、すぐに迷路探索をしてゴールを目指したくなりますね。

 しかし、ここが肝心です。動画2でご覧いただいたように、まだ制御ロジックを組み込んでいないので、すぐに壁にぶつかってしまいます。この段階で迷路探索をしても、ゴールにたどり着けないのは明らかです。そこで次回は、迷路内を安定して走行するための制御ロジックを組み込みます。お楽しみに!! (次回に続く)

鬯ゥ謳セ�ス�オ�ス�ス�ス�コ鬯ョ�ヲ�ス�ョ髯キ�サ�ス�サ�ス�ス�ス�ソ�ス�ス�ス�ス鬯ッ�ッ�ス�ィ�ス�ス�ス�セ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�」鬯ッ�ョ�ス�エ髣費ソス�ス�・�ス�ス�ス�ウ�ス�ス�ス�ィ�ス�ス�ス�ス髯懶ス」�ス�、�ス�ス�ス�ク�ス�ス�ス�イ鬯ゥ蠅捺��ス�ソ�ス�ス�ス縺、ツ€�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�」鬯ッ�ョ�ス�エ鬯ゥ蟶壽桶�ス�ュ鬮ョ�」�ス�ソ�ス�ス�ス�ス�ス�ィ鬮ッ蛹コ�サ繧托スス�ソ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�コ鬮」蛹�スス�オ髫エ謫セ�ス�エ�ス�ス隶難ス」�守「托スュ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ゥ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�シ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ荳サ�ス隶捺サゑスソ�ス邵コ�、�つ€鬯ッ�ョ�ス�ヲ�ス�ス�ス�ェ鬩包スカ闔ィ�ス�ス�ヲ�ス�エ�ス縺、ツ€髯キ闌ィ�ス�キ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�サ鬯ッ�ッ�ス�ェ�ス�ス�ス�ュ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�イ鬯ゥ謳セ�ス�オ�ス�ス�ス�コ鬮ッ�キ�ス�キ�ス�ス�ス�カ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス New

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