IoTのソラコムが生成AIと融合、リアルワールドAIプラットフォームへ製造業IoT(1/2 ページ)

ソラコムは、生成AI時代における新たなビジョンとミッション、プラットフォーム戦略を発表した。プラットフォーム戦略では、現実世界の全てをAIにつなぎ、より良い未来を創造する「リアルワールドAIプラットフォーム」への進化を目指すという。

» 2025年07月10日 06時15分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ソラコムは2025年7月9日、東京都内とオンラインで会見を開き、生成AI(人工知能)時代における新たなビジョンとミッション、プラットフォーム戦略を発表した。

ソラコムの玉川憲氏 ソラコムの玉川憲氏

 2014年11月に創業した後、2015年9月からIoT(モノのインターネット)プラットフォームである「SORACOM」の国内向けサービスの提供を開始したソラコムは、本格的な事業展開を開始してから10年目の節目を迎える。2024年3月のIPO(新規株式公開)から業績を公開しているが、2025年3月期の売上高は89億円、6期連続の営業黒字、契約回線数700万、海外売上高比率は41.8%に達するなど事業を順調に拡大している。同社 代表取締役社長 玉川憲氏は「調査会社のKaleido IntelligenceからCMP(Connectivity Management Platform)でグローバル2位に評価されるなど、10年前と比べると隔世の感がある」と語る。

 IoTプラットフォーマーであるソラコムだが、進化が加速する生成AIの取り込みにも余念がない。2023年7月にAI研究で知られる東京大学 教授の松尾豊氏が技術顧問を務める松尾研究所とIoT×GenAI Labを立ち上げて多くの生成AIプロジェクトに携わり、それらの成果をソラコムのプラットフォームに取り込み進化させている。2024年7月に発表した、生成AIを用いてIoTアプリケーションをローコードで開発できるツール「SORACOM Flux」などが代表例だ。

 玉川氏は「生成AIの劇的な進化によって、もともとわれわれが描いていたIoTの世界観を実現できると感じている。IoTによって収集できる現実世界のデータがAIで価値に変わる時代になった」と強調する。しかし多くの企業は、IoTデータを収集できても活用方法が限定的で、IoTデータや社内データ、社外データを組み合わせて生成AIにつなぎ込めば大きな価値を生み出せるはずにもかかわらず、精神的ハードル、技術的ハードルが高いという課題に直面している状況にある。

 玉川氏は、ソラコムが10年目の節目を迎えるとともに生成AI時代に対応していく上での新たなビジョンとミッション、プラットフォーム戦略を発表した。従来のビジョンとミッションは「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」だったが、その方向性を維持しながらも日本発のグローバルプラットフォーマーになることを強く意識し「Making Things Happen for a world that works together」と英語に変更した。

ソラコムの新たなビジョンとミッション ソラコムの新たなビジョンとミッション[クリックで拡大] 出所:ソラコム

 プラットフォーム戦略では、フィジカルとデジタルの両方、現実世界の全てをAIにつなぎ、より良い未来を創造する「リアルワールドAIプラットフォーム」への進化を目指すという。玉川氏「ソラコムはこの10年でIoTとクラウドをつなげることに注力してきたが、早い段階から取り組んできた生成AIの技術を組み合わせて、さまざまなデバイスに対応する『フィジカル』、社内データや営業データ、顧客データなどに代表される『デジタル』をつなぎ込んで、顧客の価値を高め、社会課題を解決していきたい」と強調する。

ソラコムの新たなプラットフォーム戦略 ソラコムの新たなプラットフォーム戦略。「リアルワールドAIプラットフォーム」への進化を目指す[クリックで拡大] 出所:ソラコム
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