Rapidusが同社のファウンドリーサービスを利用する顧客の半導体回路設計を支援するツール群を発表。7つのツールで構成されており、2026年度から順次リリースしていく予定である。このツール群を用いて半導体設計を行うことで、設計期間を50%、設計コストを30%削減できるとする。
Rapidusは2025年12月17日、「SEMICON Japan 2025」(2025年12月17〜19日、東京ビッグサイト)の会場内で会見を開き、同社のファウンドリーサービスを利用する顧客の半導体回路設計を支援するツール群を発表した。7つのツールで構成されており、2027年度内に開始する同社の2nmプロセスのファウンドリーサービスと合わせて、2026年度から順次リリースしていく予定である。このツール群を用いて半導体設計を行うことで、設計期間を50%、設計コストを30%削減できるとする。
同社は、半導体の設計支援と前工程/後工程を一貫して行う新たなビジネスモデル「RUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)」の構築によって、ファウンドリーサービスとして世界最短のTAT(ターンアラウンドタイム)の実現を目指している。Rapidus CTOの石丸一成氏は「RUMSによる圧倒的なスピードで差別化を図る」と語る。
このRUMSを構成する両輪となるのが「DMCO(Design-Manufacturing Co-Optimization)」と「Raads(Rapidus AI-Assisted Design Solutions)」である。DMCOは、これまでも行われてきた製造のための設計であるDFM(Design for Manufacturing)に加えて、設計のための製造となるMFD(Manufacturing For Design:設計のための製造)という概念を取り入れて、設計と製造を同時に最適化しアジャイルな設計を可能にするコンセプトである。
そしてRaadsは、DMCOに基づく製造過程で得られるさまざまなデータをAI(人工知能)で解析し、Rapidusの顧客であるファブレスによる半導体回路設計の最適化を可能にする設計支援ツールの構想である。半導体の回路設計では、顧客が求める半導体の要件を基に論理設計を行ってからRTL(レジスタ転送レベル)を生成する。このRTLから落とし込んだ物理設計を用いて、ファウンドリーが回路の原版となるフォトマスクを製造するのが一般的な流れだ。石丸氏は「この一連のプロセスにAIを活用することで、より短期間で高精度の半導体設計を実現していくのがRaadsのコンセプトになる」と説明する。
なお、今回発表したツール群は、このRaadsのコンセプトをさらに進化させた、最先端半導体デバイス設計のAIエージェントとなるRapidus AI-Agentic Design Solutionとなっている。
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