進化を続けるパナの“画竜点睛”の通信規格Nessum 通信インフラとして需要が拡大製造業IoT(1/3 ページ)

パナソニック ホールディングスは、同社の通信技術である「Nessum(ネッサム)」に関する取り組みと技術概要、市場動向について説明した。

» 2025年12月18日 06時15分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は2025年12月9日、東京都内とオンラインで合同技術説明会を開催し、同社の通信技術「Nessum(ネッサム)」に関する取り組みと技術概要、市場動向を説明した。

説明会の登壇者。左から、パナソニックHDの川畑直弘氏、池崎一生氏、荒巻道昌氏

NessumはIoT社会のスキマを埋める、“画竜点睛”の通信規格

 Nessum(旧HD-PLC)は電力線をネットワークの通信線として活用する通信技術として2006年に誕生した。その後、さまざまな分野で進化を遂げ、通信の高速化/安定化/無線化に貢献してきた。

 世界中でIoT(モノのインターネット)化が進む中で、新たなステージで役立つ通信規格を目指して2023年9月、ブランド名称をNessumに変更しリニューアルした。パナソニックHD 技術部門 事業開発室 Nessumプロジェクト 事業戦略 担当部長の荒巻道昌氏は「画竜点睛の通信規格として既存の通信の間にあるIoT社会のスキマを埋めていく。さまざまな媒体を通じてNessum技術により通信ネットワークをカバーできる」と語る。

Nessum活用のイメージ[クリックして拡大]出所:パナソニックHD

 また、国際標準規格IEEE 1901に準拠したHD-PLC通信機器間の互換認証機関兼HD-PLC推進団体として2007年に設立した「HD-PLCアライアンス」も、2023年に名称を「Nessumアライアンス」に変更した。名称変更後の現在では、会員数が倍増し46社まで増えているという。主な活動としては、相互接続互換認証やWebでの情報発信や広報活動、IEEE 1901に準拠した標準化活動に取り組んでいる。

Nessumアライアンスの概要[クリックして拡大]出所:パナソニックHD

Nessumは電力/既存通信線だけではなく、海中の無線通信実証にも注力

 パナソニックHDは現在、建物の既設線を通信回線にアップデートする「Nessum WIRE」と、無線通信として通信範囲を制御しながら通信速度を向上できる「Nessum AIR」に注力している。

Nessum WIREとNessum AIRの市場トレンド[クリックして拡大]出所:パナソニックHD

 Nessum WIREは、電力線通信への活用が可能であり、欧州電力会社の通信インフラへの導入が加速している。台湾でも同技術の導入実績があり、インドでも実証を計画している。また、既存の通信線を活用したビルオートメーションや空調機器制御に同技術の導入が拡大している。

 一方、Nessum AIRについては、海中給電と連携して海中での無線通信実証を現在進めている。水中探査ロボットや水中ドローンなどの通信に同技術を採用することで、海底調査や資源探査作業の自動化および効率化が期待できる。「音響通信や可視光通信に続く水中通信手段として期待が高まっている。この実証はわれわれが水中AUV(自律型無人潜水機)を母船から発進させる際の初期制御用通信手段として、Nessum AIR技術の原型を試験的に利用したのが始まりである」(荒巻氏)。

Nessum AIRの水中活用のイメージ[クリックして拡大]出所:パナソニックHD
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