注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。今回は、忘年会シーズンにぴったりの、使い捨てライターで離れた場所にあるLEDを点灯するガジェット「リモートキャンドル」を紹介する。
12月ということで忘年会シーズン真っ只中かと思います。そういったイベントにぴったりのガジェットを紹介します。
読者の皆さんは宴会など人が集まるイベントで人気者になりたいと思ったことはありませんか。筆者はとても目立ちたがり屋なので、いつも楽器か何か小物を持っていくことが常です。とはいえ楽器をうまく演奏するにはそれなりの時間と労力をかけて練習する必要があります。そこで、電子工作が得意(!?)な皆さんにうってつけのガジェットがあります。仮に「リモートキャンドル」とでも名前を付けておきましょう。これの遊び方から作り方までを伝授します。
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図1にリモートキャンドルの使い方を示します。
図1の中ではLEDしか示していませんが、この後から説明する回路がつながっています。LEDの右側にある使い捨てライターの方は、種も仕掛けもないそのままの使い捨てライターです。ただし、いわゆる電子ライターといわれるものを使ってください。火打石を擦って着火するタイプの使い捨てライターもありますが、そちらではリモートキャンドルの動作は確認していません。
リモートキャンドルは、回路を接続したLEDをあらかじめセットアップしておき、そこから離れた位置で使い捨てライターを着火すると同時にLEDが点灯するというものです。一見手品のようにも見えますが、実は電磁気学と電子工学の粋を集めたガジェットとなっているのが今回紹介するリモートキャンドルなのです。
このリモートキャンドルは、ドイツの物理学者であるハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz、1857年2月22日〜1894年1月1日、図2)が実証した現象に基づいています。
ヘルツといえば周波数の単位(Hz)として有名ですね。このことから電磁波の空間伝送の実証にとても貢献した人物ということが分かりますね。彼の業績の中でも「ヘルツの火花放電」は最も有名な実験の一つです。
図3はヘルツが行った火花放電の実験を説明するものです。
図3の左側の回路で1)スイッチのオンオフを繰り返すと、2)少し離れた電極間に放電火花が発生することがあります。この放電火花によって、3)電波が発生し空間を伝わります。そして、図3の右側にあるループアンテナの電極間にギャップを作っておくと、火花によって発生した電波を受けて4)電極間に火花が発生します。
ヘルツはこの実験によって、マイケル・ファラデーとジェームズ・クラーク・マクスウェルが予言していた電磁波が空間を伝搬することを実証しました。
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