このリアルワールドAIプラットフォームへの進化に向けて、ソラコムのプラットフォームを“AI Enabled”、すなわち生成AIから使えるものに変えていく方針である。その施策の一つとなるのが、AIからソラコムのAPIをリモートで実行できるようにするMCP(Model Context Protocol)サーバの提供である。MCPはAIと外部システムを連携させるオープンプロトコルであり、2024年11月にAnthropicが発表してから急速に注目を集めている。「ソラコムはもともとAPIを完備しているので、MCPサーバの提供によって、MCPクライアント機能を持った生成AIからソラコムをコントロールできるようになる」(玉川氏)。
会見では、Anthropicの生成AI「Claude」を使って、ソラコムサービスの課金状況を基にグラフ作成とコスト分析を行い、さらにはコスト削減案を考えてもらうというデモを披露した。玉川氏は「ソラコムはあらゆるデバイスとIoTでつながっているので、それらのデバイスを生成AIで管理することも可能になる」と述べる。
MCPサーバの提供に加えて、「ChatGPT」などを展開するOpenAIが提供する「OpenAI API プラットフォーム」のエンタープライズ契約を締結したことも明らかにした。生成AIのフロントランナーであるOpenAIの技術をソラコムのプラットフォームにいち早く取り込む狙いがある。
また、2023年7月にテクノロジープレビューとしてリリースした「データ分析基盤サービス「SORACOM Query」の正式提供を2025年7月16日から開始する。SORACOM Queryは、SIMの状態や通信量、利用料金といったソラコムのプラットフォーム上に蓄積された通信管理情報、データ収集/蓄積サービス「SORACOM Harvest Data」に蓄積された時系列のIoTデータを検索/分析できる。今回の正式提供では、生成AIによって自然言語からSQLへの変換を実現する「Query アシスタント AI」機能が追加された。これにより、ソラコムのプラットフォーム上に蓄積されたさまざまなデータに対して、SQLベースでの自由なデータ照会が可能になる。これまで個別にデータをダウンロードしたり、クラウドに連携して加工/整形したりしていたデータ分析のための作業を、ソラコムのプラットフォーム上で直接クエリを実行することで、より効率的に実現できるようになるという。
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