フルMVNOの強者連合が誕生、丸紅とソラコムが通信事業の新会社を設立製造業IoT(1/2 ページ)

丸紅と同社グループの丸紅I-DIGIOホールディングス、ソラコムの3社は2025年5月12日、東京都内で会見を開き、丸紅とソラコムのIoT領域における戦略的協業の一環として、ソラコムと丸紅I-DIGIOによる通信事業の新会社を設立すると発表した。

» 2025年05月13日 08時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 丸紅と同社グループの丸紅I-DIGIOホールディングス(以下、丸紅I-DIGIO)、ソラコムの3社は2025年5月12日、東京都内で会見を開き、丸紅とソラコムのIoT(モノのインターネット)領域における戦略的協業の一環として、ソラコムと丸紅I-DIGIOによる通信事業の新会社を設立すると発表した。

会見の登壇者 会見の登壇者。左から、丸紅の藤永崇志氏、ソラコムの玉川憲氏、丸紅I-DIGIOの佐藤由浩氏[クリックで拡大]

 新会社は、丸紅I-DIGIO傘下の丸紅ネットワークソリューションズのMVNO(仮想移動体通信事業者)事業を分社化した上で、ソラコムが51%を出資し同年8月1日から事業を開始する予定である。新会社の社名は現時点では未定だが、本社は丸紅I-DIGIOと同じ住友不動産飯田橋ファーストタワー(東京都文京区)に置くことになる。

 丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業は、丸紅無線通信が2012年に立ち上げたNTTドコモ回線を用いた国内MVNO事業を核に、2019年に丸紅無線通信と丸紅OKIネットソリューションズの統合によって198の国と地域で利用可能なグローバル通信サービスも提供するようになった。そして2020年には、独自のSIM発行が可能なフルMNVOサービスの提供を開始している。主に、モバイルワーカー向けのデータ通信サービス、インバウンド向けなどで需要が伸びるプリペイドSIM、そしてIoT回線という3つの分野で法人向けモバイルサービスを提供している。丸紅I-DIGIO 代表取締役社長の佐藤由浩氏は「現時点でこれら3分野の事業規模はほぼ同等だが、総合商社である丸紅の事業をスケールするという観点でIoT回線の果たす役割は大きい。IoT回線を軸にさまざまな技術やサービスを展開しているソラコムとの資本提携は絶好の機会になる」と語る。

丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業の沿革 丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業の沿革[クリックで拡大] 出所:丸紅I-DIGIO
丸紅I-DIGIOとしての新会社設立の背景と意義 丸紅I-DIGIOとしての新会社設立の背景と意義[クリックで拡大] 出所:丸紅I-DIGIO

 丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業がNTTドコモ回線のフルMVNO事業者であるのに対し、ソラコムはKDDI回線とグローバル回線のフルMVNO事業者である。ソラコム 代表取締役社長の玉川憲氏は「新会社はNTTドコモ、KDDI、グローバルというマルチキャリアのフルMVNOのサービスを提供できる。また、丸紅ネットワークソリューションズがヒト向け/オンプレミスを事業の中核としているのに対し、ソラコムはモノ向け/クラウドベースという違いがあり、互いの強みを生かした補完関係による相乗効果を生み出せると考えている」と強調する。

新会社における丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業とソラコムの補完関係 新会社における丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業とソラコムの補完関係[クリックで拡大] 出所:ソラコム

 実際に、日本国内にはMVNO事業者は多数あるものの、独自にSIMを発行したり、提供サービスに合わせてフレキシブルに料金プランを設定できたりするフルMVNO事業者は数社にとどまる。そのうちの2社であるソラコムと丸紅ネットワークソリューションズのMVNO事業が新会社を設立することで、国内ではNTTドコモとKDDIのマルチキャリア対応が可能かつグローバルにも対応できるフルMVNO事業者が誕生することになる。

フルMVNOの仕組みとメリット フルMVNOの仕組みとメリット[クリックで拡大] 出所:ソラコム
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