電源もWi-Fiもない場所にクラウド録画カメラ、工事不要で設置できる製造業IoT(1/2 ページ)

ソラコムはクラウドカメラサービス「ソラカメ」に、電源やWi-Fi環境のない屋外でも設置できるカメラとその周辺機器の新商品を追加して発売する。

» 2025年07月02日 07時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ソラコムは2025年6月30日、クラウドカメラサービス「ソラカメ」に、電源やWi-Fi環境のない屋外でも設置できるカメラとその周辺機器の新商品を追加し、同年7月16日に発売すると発表した。

 これまで同社は電源とWi-Fi環境があれば設置でき、クラウド上で手軽に常時録画できるカメラを訴求してきたが、Wi-Fi環境がなかったり、電源も用意できなかったりする場所でもカメラを設置したいというニーズがあった。その要望を受けて今回発売するのは、電源はある場所に向けた「屋外スターターキット」と、電源もない場所に対応した「屋外ソーラーキット」だ。建設現場や農地、河川などの防災管理、避難所などでの活用を見込む。

屋外スターターキット(左)。屋外ソーラーキットとクラウドサービス対応カメラ(右)[クリックで拡大]

 屋外スターターキットは、既に提供しているソラカメ対応カメラに加えて、通信ルーターと大容量アップロード通信SIMを防水ケースに収めてセットにした。電源があればソラカメが利用できる。税込み本体価格は3万9600円で買い切り。データ通信料5500円と、ソラカメの録画機能ライセンスの利用料990円が毎月の支払いとなる。カメラは遠隔から水平360度、上下180度まで首振りで動かして周囲360度を撮影できる。

 屋外ソーラーキットは、通信ルーターと大容量アップロード通信SIMに加えて、バッテリーを内蔵した電源ボックスとソーラーパネルをセットで提供する。バッテリーとソーラーパネルは諏訪三社電機が供給し、1つのキットで1台のカメラに対応する。ソラカメ対応カメラは別途購入する必要がある。税込み本体価格は28万4570円で、屋外スターターキットと同じくデータ通信料や録画機能のライセンス利用料が毎月発生する。電気工事を依頼するのに比べて安価に電源を用意できるとしている。

 屋外ソーラーキットは、悪天候などで3日間発電できなくても常時録画を継続できるバッテリー容量とした。「クラウドカメラに最適な容量のバッテリーは意外と見つけにくい。ソーラーパネルのサイズや置きやすさも分かりにくいところがあると考えている。電源の知識がなくても買ってすぐ使えることを重視し、諏訪三社電機やユーザーの協力を得ながらソーラーパネルとバッテリーの組み合わせを決めた。3日間の常時録画継続もトライアルで検証し、3日間なら安定稼働できると判断した」(ソラコム ソラカメ事業責任者の高見悠介氏)

カメラはさまざまな方向に首振りできる[クリックで拡大]

 屋外での活用を見込むユースケースとしては、建築/土木の施工進捗確認や資材置き場の管理、製造業の屋外設備の監視、駐車場など屋外設備の管理、農作物の育成見守り、港湾や河川の状況把握や水域監視、キャンプ場やゴルフ場、神社仏閣や景勝地のような屋外の施設での監視などがある。巡回が必要だが移動の頻度や距離などで負担が大きい場所での設置需要を見込んでいる。

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