これらの用途は防犯カメラやエッジAI(人工知能)カメラなどでも対応できるが、設置工事や本体価格などで初期投資が高額になりやすい上、セキュアな保存環境も整備しなければならない場合がある。屋外で電源やWi-Fi環境も新たに用意する場合は工事でさらに費用と時間がかかる。神社仏閣や景勝地など、新たな工事が難しい場所もある。
ソラカメ対応カメラは、そのまま置いたり、底面のマグネットで取り付けたりできる他、本体のねじ穴と市販の汎用金具で三脚やライティングレールなどさまざまな場所に設置できるのが特徴の1つ。専門的な設置工事が不要で、必要に応じてカメラを移動させることができる。例えば工事現場では、平日の稼働日は作業場所にカメラを向けておき、休日は盗難対策で資材や機材の保管場所にカメラを移すような使い方が可能だ。
ソラカメは映像をクラウド上に常時録画するため、移動の負担が大きい設置場所でもSDカードを取りに行く手間が省ける。映像はスマートフォンやタブレット端末、PCで確認でき、録画機能ライセンスに応じて直近の7日間、14日間、30日間の期間で保存する。物体の動きや音を検知してイベントとして保存したり、タイムラプス動画を作成したりすることもできる。
ソラカメ対応カメラは本体が安価なことも特徴だ。一般的な防犯カメラであれば1台に数万円から10万円ほどかかるところ、首振りに対応したタイプ「ATOM Cam Swing」が税込みで5680円、固定画角の「ATOM Cam2」は同3980円だ。「一般的なカメラのリースでは2〜3万円の支払いが毎月発生するので、それと比べても非常に安価で導入できる」(高見氏)。コストが高額でカメラを設置できなかったという需要を取り込む。安価だが、赤外線LEDやカラーナイトビジョンで暗い場所での撮影も可能で、防塵/防水にも対応している。
ソラコムは、クラウドで録画される映像などを対象にした分析サービス「SORACOM Flux」も提供する。収集した動画の解析を生成AIに指示し、メールなどでの通知やIoT(モノのインターネット)デバイスへのフィードバックにつなげることなどが可能だ。例えば、物流倉庫に設置したソラカメとSORACOM Fluxで制服を着ていない人を生成AIで不審者として検知するという導入事例がある。また、スーパーの総菜売り場の在庫状況を、陳列棚の空白面積から生成AIで測定し、人による映像の分析の手間を削減した例もある。在庫の売れ行きを時系列で数値化することにもつながった。
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