組み込み技術のスキルアップを目的に、小さくて賢いロボット「マイクロマウス」の製作に挑戦する北上くんとえみちゃん。前回は、市販の組み立てキット「Pi:Co Classic」のはんだ付けまで完了した。次は、組み立てと開発環境のインストール、そして、動作確認を行う。果たしてその結果は!?
組み込み技術者に要求される要素が“ギュッ”と詰まった「マイクロマウス」。北上くんと新入社員のえみちゃんは、組み込み技術のスキルアップを兼ねてマイクロマウスの開発を始めることにしました。先日、電子工作初心者のえみちゃんが、苦労しながら何とか基板のはんだ付けを行いましたが……(前回の記事へ)。
はんだ付けほぼ初心者のえみちゃんは、北上くんに教えてもらいながら、何とかマイクロマウスの組み立てキット「Pi:Co Classic」の基板を完成させました。今日は、いよいよマイクロマウスを組み立てます。
あ、えみちゃんが、ニコニコとうれしそうな様子で北上くんの家に来ましたよ。
――ピンポーン!(チャイムの音)
こんにちは。
おじゃましまーす!
いらっしゃい! 早かったね。
今日、マイクロマウスが完成すると思ったら、ワクワクして早く来ちゃいました〜。
うんうん。楽しみだよね。
よし! 早速、ケーブルを作ろう。
はいっ!
Pi:Co Classicはプリント基板なので、自分で配線を加工する必要があるのは、「モータケーブル」だけです。ケーブルは、モータに動力と信号を送る大事な役割を担います。断線やコネクタ接触不良が起こらないよう慎重に作りましょう。
ケーブルにコネクタを取り付ける手順は以下の通りです。
順番にポイントを解説します。
1.ケーブルは、長過ぎると走行時にタイヤに接触し、邪魔になります。かといって、短過ぎてはメンテナンスの際に断線の恐れが生じます。長さは、5cm程度にするのがよいでしょう。
2.ケーブルの絶縁被覆をむくには、ワイヤーストリッパーが便利です。カッターで慎重にむく方法もありますが、最近は100円ショップでもワイヤーストリッパーを売っています。1つあると便利なので購入をオススメします。ケーブルの先端5mm程度、絶縁被覆をむきます。
3.絶縁被覆をむくと、中から細い電線が現れます。バラけないようにこれらを指先でよじってまとめます。
4.圧着端子にケーブルを載せ、ラジオペンチで挟み、かしめます(画像2の囲み)。この時、根元のかしめはケーブルの絶縁被覆に喰い込むようにし、引っ張っても抜けないように固定するのがポイントです。絶縁被覆をむいた部分が端子と接して圧着されます。
ここで、圧着端子とケーブルのはんだ付けを薦めるマニュアルもありますが、それは止めましょう。はんだ付けの熱で絶縁被覆が溶けたり、はんだが端子に流れ込み端子のツメがコネクタに引っ掛からなくなったりなど、トラブルの原因になるからです。
5.圧着端子をケーブルにセットしたら、コネクタに挿し込みます。圧着端子のツメがコネクタに引っ掛かり、カチッと止まればOKです。端子の端をラジオペンチでつまんで挿し込むとやりやすいです。
ここで、重要なポイントがあります。Pi:Co Classicは、1本をストレートケーブル、もう1本はクロスケーブルにしています。これは、右モータ(ストレートケーブル)を時計回り、左モータ(クロスケーブル)を反時計回りにしたとき、前進する設計になっているためです。
完成したケーブルの両端コネクタの向きをそろえると、一方は中央でケーブルがクロスします。コネクタにケーブルを挿す順番が左右逆になるので、気を付けましょう(画像2)。
ケーブルができたら、各ラインがちゃんと通電しているかをテスターで確認しておきましょう。
ケーブル作成は、結構、細かい作業が多くてタイヘンですねぇ。
そうだね。
でも、これでいよいよ、マイクロマウスが組み立てられるんだよ!!
やったー!!
早く、完成させましょうよ!
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