車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第37回は、2025年5月にベルギーで開催された「第16回AUTOSAR Open Conference」の大まかな内容を紹介する。
急に気温が高くなってきました。わが家の猫が、比較的温度の低いフローリングにお腹を付けペッタンコになって涼む姿を見る機会も増えました。
筆者自身も海外出張や業務による多忙と、先日の欧州出張中深夜にホテルで避難指示の警報が鳴り響くという事件による若干のトラウマ(?)からの睡眠不足が重なり、体調の管理には苦労しております。でも、そんな中でもなんとかAUTOSARのより良い運用のために、ない知恵を必死に絞り出しております。
今回はその一つとしてAUTOSAR日本事務局が新たに企画しているイベントや、先日ベルギーで開催された「第16回AUTOSAR Open Conference(AOC)」の大まかな内容についてご紹介します。
2025年5月27〜28日、第16回AOCが開催されました。
有償イベントかつ欧州開催(会場:ベルギーのブルージュにあるBruges Meeting & Convention Center、BMCC)ということもあってか、2024年の第15回の東京開催に比べ、日本を含むアジアからの参加者の総数は減少していました(総数約200人の参加者のうち日本からの参加者は20人程度でした)。
ということで、急ではありますが2025年7月14日に、JASPAR(AUTOSARにはAttendee団体として参加)とAUTOSAR日本事務局の共催イベント「AUTOSAR & JASPAR Japan Day(mini AOC in Japan)」を開催することといたしました。東京(品川)と名古屋の2カ所で開催しますが、リモートでも参加いただけます(東京、名古屋、オンラインとも参加人数の上限があります)。
第16回AOCの講演の一部を、日本で、そして、日本語で改めて講演するというこのイベント、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)の時代(?)の中での、AUTOSARやその関連団体の動向などのご紹介が中心になります(英語への同時通訳は行いません/only in Japanese Language)。
ご関心をお持ちの方々のほとんどは、すでにJASPARまたはAUTOSARの会員かと思いますので、今回は開催準備(許諾など)の都合もあり、両団体の会員限定のイベントといたしました。
※参加資格のない方のお申し込みがあった場合は、受け付けることはできません(AOCとは異なり、両団体の予算/リソースを割いて行う無償イベントであるため、一般に広く公開という形にはできませんこと、ご了承ください)。
アジェンダと申し込み方法については、JASPAR会員の皆さまはJASPAR会員向け告知ページ(6月24日に掲載)を、AUTOSAR会員の皆さまはAUTOSAR日本事務局からのメーリングリストでの案内(6月25日に配信)をご覧ください。
※それらの情報へのアクセスがないという方々は、自社のJASPAR/AUTOSARご担当者様にご相談ください。
では、第16回AOC(ベルギー開催)の大まかな内容をご紹介しましょう。※1)
とはいっても、AUTOSAR & JASPAR Japan Dayで講演予定の内容についてはできるだけ触れずに進めてまいります(ネタバレ防止)。
まず、第16回AOCのアジェンダをご覧いただきますとすぐに分かるように「SDV」というキーワードばかりです。
これは東京開催の第15回AOCのアジェンダでも同様でした。
ですが第16回AOCでは、一見すると講演タイトルには現れない大きなキーワードが非常に印象を強く残しました。ご来場の方の一部からも、「これって、本当にAUTOSARのイベントなの?」というお声をいただいたくらいです。※2)
それは「OSS(オープンソースソフトウェア)」と「Open Source(オープンソース)」です。
※1)なお、前回の第15回AOC(東京開催)については、経済産業省 モビリティDX室長の伊藤建氏の講演を含め、幾つかの講演内容の動画が公開されています。残念ながら、今回の第16回AOCについては、講演動画の公開予定はございません。
※2)余談ですが、第15回のアジェンダには過剰に高解像度の背景画像が使われており、PDFのサイズが20MBを超えておりました。会場のフリーWi-Fiではダウンロードに時間がかかりすぎて諦めた方も少なからずいらしたのではないかと思います。そのため、今回の第16回では「サイズを大きくするな、減らしてくれ」と強くねじ込みましたので、2MB程度の常識的なサイズに収まりました。今回も、講演途中、会場を出入りする人に対する配慮がない(講演者の前を横切らない限り入り口に滞留するしかない)など、次回以降に考慮すべき点を伝えておきました(今回、筆者は日本事務局としての参加ではなく、所属企業のイーソルとしての参加でしたので、細かい会場運営には関わっておりませんでしたが、さすがに講演者の前を横切るしかないというのは気になりました)。こういったちょっとしたことでも、AUTOSAR日本事務局に声をお寄せいただければ伝えるようにいたします(会場でご意見いただいた方に感謝申し上げます)。
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