トヨタ、為替のゲタを脱いでも四半期過去最高益――「踊り場」との慎重さは崩さず:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は2014年度第1四半期(4〜6月期)決算を発表した。継続的に取り組んできた原価改善努力により、消費増税による国内販売台数減や前年の為替差による利益分を吸収してあまりある成長を見せ、第1四半期としては過去最高の営業利益と最終利益を達成した。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2014年8月5日、2015年3月期(2014年度)第1四半期(4〜6月期)の決算を発表。第1四半期としては過去最高の営業利益と当期純利益を達成した。
トヨタの2014年度第1四半期決算は、売上高が前年同期比2.2%増の6兆3906億円、営業利益が同4.4%増の6927億円、当期純利益が同4.6%増の5877億円という好結果となった。第1四半期で見た場合、営業利益では、これまで最高だった2008年3月期(2007年度)第1四半期の実績を更新。当期純利益は2年連続で過去最高の結果となった。
また自動車販売台数は、消費増税による駆け込み需要の反動減があった日本や、補助金などの特需の反動や政治不安を抱えるタイなどで需要が落ち込み、減少したが、欧州や北米などで好調が持続。グループ総販売台数では、前年同期比3万3000台増の251万3000台となった。
「為替の動向に影響を受けない体質作り」
同社の2013年度の好実績は、2012年度との為替差による影響も大きかった。しかし、今回の決算では、為替差による影響は「ドル、ユーロの円安によるプラス効果の一方でルーブル安によるマイナス効果があり、合計すると営業利益面で約300億円のプラスの効果があった」(トヨタ常務役員の佐々木卓夫氏)と、影響は限定的だった。加えて、日本の消費増税による販売台数減少の懸念があったが、これは「国内では前年同期比で2万台のマイナスとなった」(佐々木氏)としている。
しかし、北米や欧州での販売が好調だったことに加え、原価改善努力などを重ねた結果、これらの影響を乗り越え、過去最高の利益を達成することに成功。以前から取り組む「為替の動向に影響を受けない体質作り」が着実に進んでいることを示した。
佐々木氏は「第1四半期の決算は好結果となったが、為替差によるプラス効果があった点や新興国市場の動きが不透明であることを考えれば、特別に良い実績だったとはいえない。計画に対してほぼオンラインだと見ている」と話している。
「意思ある踊り場」
同社では2014年度について「『意思ある踊り場』とし、成長への礎としていく」(同社取締役社長 豊田章男氏)としており、内部の体質強化と将来を担う技術開発強化に当てる方針としている。
佐々木氏は「研究開発面では、環境・安全技術への積極投資を進めている。新たに燃料電池車を2014年度内に投入する方針を発表した他、『Toyota New Global Architecture(TNGA)』による自動車を2015年に投入する。これらに向けた開発投資は着実に進めており、研究開発費は過去最高水準となっている。一方で、北米本社の集約や各工場の生産性向上など仕事の“質”を高める取り組みも着々と進めている」と語る(関連記事:トヨタが燃料電池車の価格を700万円に低減、ハイブリッド車と部品を共用)。
また、2011年以降、新規建設を凍結している生産工場については、引き続き「当面は工場の工夫により、生産性を高めていく方針」(佐々木氏)としている。ただ、2011年当時はグローバル生産能力は910万台程度だったが、現在は生産性向上の取り組みで980万台まで向上。「より多くの需要に応えなければならない“次のステージ”に進んだ時は新たな工場建設も考えなければならない。しかし、当面は現状で十分だと考えている」と佐々木氏は述べている。
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