ニデックは、牧野フライス製作所から出された2度目の質問状に回答した。
ニデックは2025年2月14日、牧野フライス製作所から出された2度目の質問状に対して、回答を提出したと発表した。
牧野フライス製作所は2度目の質問状で、ニデックに対して、過去の工作機械メーカーのM&A後に、ニデックの競合企業がどれくらい取引を継続しているのかなどのディスシナジーについて尋ねた。
ニデックは、競合企業との取引が継続できなくなるなどのディスシナジーに関して、「そのような取引先が存在するのであれば、当社から当該企業を訪問し、取引の継続をお願いさせていただく」と答え、過去に同様の事態が発生したケースは「限定的であり、また買収によって、そのマイナスをはるかに上回るシナジーを実現してきた」と述べた。
TOB(株式公開買い付け)を通じて生じる、牧野フライス製作所にとってのシナジーについては「現時点において、本取引を通じて牧野フライス製作所が企図するシナジー効果を定量化することは困難だが、当社は、本公開買付けを含む本取引は、株主の皆さまに『株主が享受すべき利益』、すなわち、『買収を行わなくても実現可能な価値』を最低限保障するのみならず、『買収を行われなければ実現できない価値』の公正な分配をも十分保証する合理的な投資回収機会を提供するものであると考えている」と回答した。
牧野フライス製作所が提案した、段階的な資本提携を経てからの統合については、「完全子会社化することにより、当社の強みの1つである意思決定のスピードの速さを生かし、製品/技術、生産および販売網/サービスといった面で両社のシナジーが大きく実現され、両社において企業価値を最大化させるものと確信している」と、引き続き完全子会社化を目指す姿勢を見せた。
同様に、ニデックの工作機械事業を切り離した上で、牧野フライス製作所とともに工作機械専業会社を設立する案については、「工作機械業界全体が、景気の変動の波により不況の時には、他の事業部が支えることができる」「景気変動の波に経営が大きく左右される工作機械事業の市場構造に依存することなく、安定的かつ持続的な成長のために必要な投資を続けることができる、つまり技術、製品を継続的に開発し続けることができる」などグループとして事業を継続するメリットを強調した。
ただ、非公開情報や機密情報を含む質問に対しては「公表を前提とした書簡での回答には馴染むものではないため、経営陣に対して直接お会いして回答させていただきたい」と引き続き、牧野フライス製作所の経営陣や特別委員会との直接協議を希望した。
牧野フライス製作所が発表した事業計画についても触れており、ニデックは「牧野フライス製作所の本源的価値(Intrinsic Value)、すなわち単独(Stand Alone)ベースでの企業価値を算出する資料として大変参考になる。グループ入りにより創出されることが期待できるシナジーにより、牧野フライス製作所の単独企業価値(Stand Alone Value)に加算される追加的な価値増分について分析することの一助になる」とした。
牧野フライス製作所は2025年2月7日に2度目の質問状を提出し、同月14日までの回答を求めていた。ニデックによる牧野フライス製作所へのTOBは、同年4月4日に開始される予定となっている。
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