OTネットワーク「物理配線」も可視化、三菱電機とのシナジーでリーチ拡大期待産業制御システムのセキュリティ(1/2 ページ)

Nozomi Networksはオンラインで記者会見を開き、三菱電機による買収発表後の事業戦略や直近でリリースした新機能について説明した。

» 2025年11月27日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 Nozomi Networksは2025年11月25日、オンラインで記者会見を開き、三菱電機による買収発表後の事業戦略や直近で実装した新機能について説明した。

買収手続き完了は2026年初に、国内展開の加速に期待

 Nozomi Networksは2016年に設立された米国のOT(制御技術)セキュリティ企業で、同社のソリューションは重要な社会インフラや製造業の工場などで導入されている。日本法人は2019年に設立されており、現在は国内で100社超のユーザーを抱えているという。

 三菱電機は2025年9月に、OTセキュリティ事業およびデジタル基盤「Serendie」関連事業の拡大を目的として、Nozomi Networksを8億8300万米ドル(約1380億円)で完全子会社化すると発表した。三菱電機にとっては過去最大の買収規模となる。

 当初、買収の手続きは年内に完了する見込みだったが、米国の政府機関が一時的に閉鎖された影響で完了は2026年の初めになる見通しだという。買収に伴って2025年中に国内の人員増強も計画している。ただ、買収完了後も、Nozomi Networksは完全独立子会社として、従来通りの運営を続ける方針だ。

Nozomi Networksの芦矢悠司氏 Nozomi Networksの芦矢悠司氏

 Nozomi Networks 日本担当カントリーマネージャーの芦矢悠司氏は「発表前から出資いただいており、どこかのタイミングで一緒になりたいと考えているのでは、と感じていた。買収発表後は、販売代理店には多数の問い合わせが寄せられたが、われわれもレターを発行するなどして沈静化を図り、大部分の顧客には受け入れられた。日本法人としてのメリットは大きく、これまでリーチできなかった企業にアクセスできるようになるなどのシナジーが生まれるのではないかと期待している」と語る。

 三菱電機による出資の段階から共同で製品開発を進めている。既に、三菱電機のPLC(プログラマブルロジックコントローラー)向けセキュリティセンサーとして「Nozomi Arc Embedded」をリリースしている。「将来的には、三菱電機の知見も得ながらシリアル通信などPLCより下のレイヤーの機器の可視化にも、取り組むことになるのではないか」(Nozomi Networks スタッフセールスエンジニアの村田眞人氏)。

物理的ネットワーク構成を表示、無線デバイスの位置を特定

 2025年10〜11月にかけてリリースした新機能は主に4つとなっている。

 資産可視化とネットワーク監視を行うセキュリティセンサー「Nozomi Guardian」には、新たに「物理ネットワークマッピング」が追加された。これは、物理的なネットワーク構成を画面に表示する機能だ。スマートポーリング(SNMP)などの技術を活用することで、ネットワークスイッチやポート情報まで、どのように配線されているかを正確に把握できる。アラート発生時におけるネットワークの隔離などを迅速化する。

 「ITと違い、OTの場合はシステムを15年、20年と使い続けることが多い。その中でネットワークの情報が属人化してしまい、担当者が引退や転職で退職すると情報が失われてしまうケースがある。企業からのニーズが多かった機能であり、裾野を広げることができると期待している」(村田氏)

 ワイヤレスセキュリティセンサー「Nozomi Guardian Air」では、無線デバイスの位置を特定する三角測量が可能になった。3台のGuardian Airを設置することで、電波の強弱からフロア上の位置を特定する。現状はWi-Fiのみに対応している。

物理ネットワークマッピングの画面例 物理ネットワークマッピングの画面例[クリックで拡大]出所:Nozomi Networks
三角測量の画面例 三角測量の画面例[クリックで拡大]出所:Nozomi Networks
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