ニデックは記者会見を開き、牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買い付け)に関して説明した。本稿では、手法ではなくシナジーについて焦点を当てて紹介する。
ニデックは2025年1月23日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買い付け)に関して改めて説明した。本稿では、手法ではなくシナジーに焦点を当てて、ニデック幹部の語った内容を紹介する。
ニデックの機械事業本部は2023年4月に誕生し、工作機械事業、プレス機事業、減速機事業で成り立っており、2023年度の各事業の売り上げは工作機械事業が1182億円、プレス機事業が667億円、減速機事業が395億円となっている。
プレス機に関しては、2012年に米国のプレス機メーカーのMINSTER、2015年にスペインのプレス機メーカーのARISAなどを買収。減速機に関しては2018年にドイツの小型直交減速機メーカーのGRAESSNERなど、工作機械に関しては2021年に当時の三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)、2022年にOKK(現ニデックオーケーケー)、2023年にTAKISAWAなどを買収してきた。M&Aを経て各事業の地域別売上高は分散が進んだ。
工作機械関連の売り上げは、MINSTERを買収した2012年度の約200億円から、機械事業本部が発足した2023年度には2000億円を超えるまでに至った。
ニデック 副社長執行役員 機械事業本部長の西本達也氏は「ニデックは51年前に4人でスタートし、M&Aと新製品開発、グローバル化で成長してきた。プレス機事業に関しては『絶対に売らない』と言っていたオーナー企業に『一緒にやっていこう』と説明してグループに入っていただいた」と話した。
経営陣が買収時と変わっていない企業も多く、「胸を張って言いたいが、われわれのM&Aというのは、経営陣にそのまま任せるというのが大原則だ。(牧野フライス製作所の現経営陣に関しても)絶対に残っていただきたい。シンガポールや中国の拠点の方々もぜひ残っていただきたい。そのためには永守(永守重信氏、代表取締役グローバルグループ代表)や私が赴いて、一緒にやっていきたいということを徹底的にお話したい」(西本氏)。
今回の牧野フライス製作所に対するTOBの目的について西本氏は「製品群の拡充が大きな理由だ。1つの工場ではさまざまな工作機械が必要になる。それをワンストップソリューションで、旋盤から大型機まで提供できる。また、規模の拡充によって購買力が向上し、収益力も強化される」と話した。また、産業や地域ごとの浮き沈みに対するリスクの分散にもつながるとした。
さらに西本氏はこれまでに買収したメーカーの工作機械市場における立ち位置を示しながら「ニデックマシンツールの大型機や歯車機械、2023年に買収したイタリアのPAMAの大型機は非常に高機能だが市場は小さい。牧野フライス製作所は高機能で市場が大きいマシニングセンタの領域を押さえている。今、後ろからは中国企業がものすごいスピードで汎用機から高機能な機械までどんどん作って追い付こうとしている。彼らに負けないように、1つのしっかりした工作機械メーカーをわれわれは作ろうとしている」と語った。
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