オムロン ヘルスケアは血圧計の累計販売4億台突破を機に、マザー工場の松阪事業所を公開。「世界同一品質」を支える高度な自動化と品質管理体制をひもとく。「発症ゼロ」実現へ向け進化するモノづくりと、同社の次なる挑戦を紹介する。
オムロン ヘルスケアは2025年11月18日、国内唯一の自社生産拠点である三重県松阪市の松阪事業所(以下、松阪工場)を報道陣に公開し、50年以上にわたる同社の血圧計事業の歴史や、医療機器の「世界同一品質」を支える製造現場の自動化技術について紹介した。
今回の工場公開は、2025年10月に同社の血圧計累計販売台数がグローバルで4億台を突破したことを記念して開催された。オムロンにおけるヘルスケア事業は、2024年度の売上高1459億円に達し、そのうち血圧計の構成比率は68%を占め、同社をけん引する中核事業としての地位を確立している。
現在、同社はグローバルな供給体制を構築するため、松阪工場のほかに中国(大連)、ベトナム(ホーチミン)、イタリア(ロンバルディア)の計4カ所に生産拠点を構える。これらに加え、現在トライアル稼働中であるインド(タミルナド)の新工場も2025年度中に本格稼働を開始する予定であり、供給体制のさらなる拡充を進めている。その中で松阪工場は、単なる製造拠点にとどまらず、全世界の生産を統括する「マザー工場」であると同社は位置付けている。
松阪工場の歴史は古く、1973年に松阪立石電機(オムロンの前身である立石電機グループ)として創業し、社名変更を経て2012年にオムロンヘルスケアと統合された。敷地面積約2万3900m2を擁する同工場では、血圧計、心電計、低周波、ネブライザー、体温計、医療向け商品の6カテゴリーにおいて、136機種の製品を生産している。生産能力は年間で血圧計が約330万台、体温計が200万本規模であり、製造された製品は日本、中国、台湾、米国、欧州など10エリアに出荷される。
グローバル全体でみると、松阪工場では約20〜30%を生産しており、台数では大連工場やホーチミン工場が3倍近い規模を持つ。しかし、松阪工場の真価は生産量そのものではなく、「質」と「技術の発信源」にあると同社は説明する。
オムロン ヘルスケア 生産統轄本部生産革新本部 松阪工場 工場長の田村崇氏は、「松阪工場はボリュームを追う工場ではなく、マザー工場として新しい技術や生産の仕組みを先行して構築する場である。ここで作り上げた仕組みを世界中の拠点へ展開することで、国や地域を問わない“世界同一品質“を実現する役割を担っている」と語る。
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