累計4億台というマイルストーンを達成した一方で、同社は新たな健康課題に挑戦する姿勢を見せる。
現在、世界における高血圧患者は約13億人、高血圧などが原因で引き起こされる脳/心血管疾患の発症者数は1980万人(WHO調べ)に達すると推計されている。日本国内では2025年7月に「高血圧治療ガイドライン」が6年ぶりに改訂され、脳卒中や心不全などの循環器疾患予防における血圧管理の重要性があらためて注目されている。
オムロンは2022年3月に発表した長期ビジョン「Shaping the Future 2030」において、ヘルスケア事業の目指すべき姿として「Going for ZERO 脳・心血管疾患の発症ゼロ」を掲げた。これは、同社が単なる「血圧計を売る会社」から、センシング技術などを生かした予防医療ソリューションを提供することで「命を救う会社」へと事業の定義を変革する姿勢を示したものである。
このビジョンを実現するための具体的な一手として、同社は従来の血圧測定に加え、新たに「心電図測定」の領域へと技術を拡大させている。脳卒中の原因の1つとされる「心房細動(心房が異常に細かく動く不整脈)」は、通常の血圧測定だけでは発見が困難であった。そこで同社は日々の血圧測定と同時に心電図を記録できる「心電計付き血圧計」などを開発し、家庭でのリスクの早期発見に挑んでいる。
オムロン ヘルスケア 商品事業統轄部 グローバル商品事業部 部長の茎田知宏氏は、次なるステージに向けた決意と、それを支える松阪工場の責務について次のように結んでいる。
「測って終わりではなく、そのデータを使っていかに発症を未然に防ぐか、そこまで踏み込んでいくことが当社の使命である。これを実現するためには、機器自体が狂いのない正確なものでなければならない。だからこそ松阪工場では徹底した品質管理を行い、信頼できる製品を世界に送り出す『マザー工場』としての責任を、これからも担っていく」(茎田氏)
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