ニデックは、牧野フライス製作所からの質問状に回答した。
ニデックは2025年1月31日、牧野フライス製作所が送付した質問状に対する回答を発表した。
牧野フライス製作所は2025年1月28日に、TOB(株式公開買い付け)の開始を予告しているニデックに対して、グループ入りすることで生まれるシナジーやTOB後の経営方針、事業計画など約60項目の質問状を提出。同月31日までの回答を求めていた。
異なる両社の加工技術を相互に活用することのシナジーに関する質問に対して、ニデックは「既存の領域に満足することなく、異なる製品やサービスを組み合わせて新しい付加価値を生み出すことがシナジーであると考えている。牧野フライス製作所の高速、高精度、高品位の製品とニデックの高剛性、重切削を得意とする製品、牧野フライス製作所の高い加工技術力とニデックの旋削加工、歯車加工、大型部品加工技術力を組み合わせることで、ワンストップソリューションとして新たなビジネスを創出する可能性が広がる」と回答した。
ニデックがシナジーとして2023年に買収したイタリアのPamaの購買ルートを通じた欧州製NC装置の共同購買を例として挙げた点について、牧野フライス製作所は、「重要な制御装置を変更することは、従来築きあげてきた金型ユーザー、航空機ユーザー、医療関連ユーザーなどの信頼性、利便性を失うだけでなく、製造プロセス認証が再度必要となり、リピートオーダ機会を失う蓋然性が高い」などとして具体的な共同購買のシナジーを質問した。
それに対して、ニデックは「NC装置を欧州製に変更する、というような意図はなく、あくまでも新しい地域、市場へ参入する際の障壁を下げる一例として示したもの」と答えた。
また、牧野フライス製作所はニデックのTOB開始予告後に「当社の製品と競合するため、グループ全体として牧野フライス製品を買えなくなる」などの声がユーザーから出ており、それらのディスシナジーをどのように解消するのかを尋ねた。
ニデックは回答で、過去の買収案件でも同様の声はあったとし、「機械事業本部長の西本(西本達也氏)を含む経営陣と被買収会社と共に対象顧客企業のトップを訪問し、『引き続き取引継続をお願いしたい』旨を誠実にお願いしてきた。被買収会社の重要仕入れ先も同様だ。牧野フライス製作所がグループ入りしていただいた場合も同様に対応する」と答えた。
あくまでニデックグループとは取引できないという仕入れ先に対しては、「月日をかけて取引再開をお願いし、実現する場合が多々ある。加えて、ニデックグループ自体が大量の工作機械を使い、また販売網、供給網を活用し、仮に喪失した顧客、仕入れ先がいる場合でも、その取引量をはるかに上回る新しいビジネスをご提供できる」とした。
ニデックがシナジーとして挙げた「巨額の資金を要する開発や生産拠点の展開などの検討/実現」の詳細に関する質問に対しては、「R&D、工場建設のみならず、人材採用/育成やM&Aも含む。巨額の資金を投入することで、短期間でR&Dや生産拠点の設立、M&A を通した技術の獲得等が実現可能となる。中国をはじめとする海外勢との競争に打ち勝つために開発や生産拠点の展開をスピーディーに進めることが必要」と答えた。
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