トヨタ自動車は2014年3月期第1四半期決算を発表した。為替の好影響や収益構造改革の成果などにより、四半期ベースでは過去最高の最終利益を達成した。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2013年8月2日、2014年3月期第1四半期の決算を発表。安倍晋三政権による経済政策、いわゆる“アベノミクス”の効果もあり、四半期ベースでは過去最高の最終利益をたたき出した。またグループの2013年(暦年ベース)の世界生産台数は初の1000万台超えを実現する見通しを示した(関連記事:トヨタ、今期の自動車販売目標は910万台――設備投資は現状維持)。
トヨタの2014年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比13.7%増の6兆2553億円、営業利益が同87.9%増の6633億円、当期純利益が同93.6%増の5621億円となり、リーマンショック前の過去最高に迫る好業績を残した。四半期ベースで見た場合、営業利益では2008年3月期第1四半期に次ぐ過去2番目の実績、当期純利益では過去最高の結果となった。
連結販売台数は、エコカー補助金が終了した日本の他、欧州や中国、タイなどで販売が減少し、前年同期に対して微減となる223万2000台となった。しかし、国内市場で「レクサス」や「クラウン」などの高級車が好調。また北米市場や中南米、アフリカなどでも伸長した。さらに継続して取り組む収益構造の改善が効果を発揮し、大幅な利益伸長を実現した。
トヨタ常務役員の佐々木卓夫氏は今回の好業績について「この四半期だけの成果ではなく、リーマンショック以降4年間かけて取り組んできた収益構造の改善が身を結んだ」と強調する。
「営業利益で過去最高だった2008年3月期第1四半期の為替はドルが121円、ユーロが163円という状況だった。今はドルが99円、ユーロが129円で当時と比べるとはるかに円高だ。この為替の影響度を単純比較すると3500億円のマイナス影響がある。当時に比べてはるかに収益構造は強くなっている」(佐々木氏)。
営業利益は、日本、北米、欧州、アジア、中南米・オセアニア・アフリカ地域の5地域全てで成長。中でも日本については、前年同期の4倍以上となる4560億円を稼ぎ出し、為替を含めた“アベノミクス”の効果を享受する結果となった。
ただ通期については、慎重な姿勢を見せる。通期連結業績予想は、売上高が5000億円増の24兆円、営業利益が1400億円増の1兆9400億円、当期純利益が1100億円増の1兆4800億円と、上方修正はしたもののその幅は小さい。
佐々木氏は「第1四半期の業績改善は期待よりも早いペースで進んでいる。ただ、活動ベースではほぼ計画通りで、通期の販売目標台数(トヨタ・レクサス)も当初予想を変えていない。基準とする為替レートを2円円安に変更したことから、その差のみを今回は反映した」と話す。
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