トヨタ自動車の2013年3月期決算は、販売台数、売上高、営業利益などの大幅な回復を実現した。
トヨタ自動車は2013年5月8日、2013年3月期の決算発表を行い、売上高が前期比18.7%増の22兆641億円、営業利益が同3.7倍となる1兆3208億円、当期純利益が同3.4倍となる9621億円とV字回復を実現する好決算となった。業績について同社代表取締役社長の豊田章男氏は「グループ、販売店とともに一丸となって取り組んできた収益改善の成果や『もっといいクルマ』をテーマとして取り組んできた成果が形となってきた」と強調した。
2013年3月期の連結販売台数は日本が227万9千台、北米が246万9千台、欧州が79万9千台、アジアが168万4千台、その他が164万台で合計887万1千台となり、前期比で20%以上の増加を示した。2014年3月期は、日本が212万台と減少を予想するものの、北米264万台、欧州83万台、アジア176万台、その他175万台と全地域で増加し、合計910万台と予想する。
これらの効果もあり、2014年3月期は売上高が6.5%増の23兆5千億円、営業利益が36.3%増の1兆8千億円、純利益は42.4%増の1兆3700億円を見込む。ただ大幅な回復傾向を示す中でも、基本的には厳しい状況の体制を維持する方針だ。
豊田氏は「足元の競争にとらわれることなく持続的成長を可能にする『真の競争力』を実現することに力を注ぐ。生産技術の革新や商品力強化や原価低減に抜本的に取り組む『トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー』(TNGA)をはじめとする新しいクルマづくりの革新を進めていく。その他については基本的には新たな投資をするのではなく生産性向上を中心に考えていく」と話す。
日本政府によるいわゆる「アベノミクス」とされる一連の経済政策により、国内景気は上向きつつあるものの国内生産についても「トヨタがトヨタであるために必要な国内生産台数」(豊田氏)とする300万台からは大きく変えない方針。「国内生産規模300万台は1980年代に実現した数字だが、そのときの海外生産台数は20万台だった。今は海外生産台数は500万台以上になっており、その成長の土台が300万台の国内生産規模だという認識だ。規模ではなく、その300万台の中身をグローバル・トヨタとして真に競争力のあるものにしていくかということが重要だと考えている」(豊田氏)。
同様に新工場建設についても現状では行わない方針で、当面は既存設備の生産性を高めることで生産量の拡大に対応していく方針を示している。
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