テレビの会社からエンタメの会社に、ソニーグループを変えた吉田氏の7年間製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ソニーグループは、2024年度第3四半期の連結業績を発表した。同時に4月以降の新たなCEO人事に伴い、CEOを退任する取締役 代表執行役 会長 CEOである吉田憲一郎氏と、新CEOに就任する取締役 代表執行役 社長 COO 兼 CFOの十時裕樹氏がこれまでを振り返るとともに今後の抱負を述べた。

» 2025年02月14日 05時45分 公開
[三島一孝MONOist]

 ソニーグループは2025年2月13日、2025年3月期(2024年度)第3四半期(10〜12月)の連結業績を発表した。同時に、同年1月29日に発表した4月以降の新たなCEO人事に伴い、CEOを退任する取締役 代表執行役 会長 CEOである吉田憲一郎氏と、新CEOに就任するの十時裕樹氏(現 取締役 代表執行役 社長 COO 兼 CFO)がこれまでを振り返るととともに今後の抱負を述べた。

ゲーム事業は、PS5の販売もネットワークサービスも順調

 ソニーグループの2024年度第3四半期の連結業績は、金融分野を含む連結ベースで前年同期比18%増の4兆4096億円、営業利益は同1%増の4693億円、税引き前利益が同8%増の4941億円、純利益が同3%増の3737億円となった。2025年10月に再上場を予定している金融分野を除いた場合も、売上高は同7%増の3兆6957億円、営業利益は同10%増の4230億円、税引き前利益は同17%増の4477億円、純利益は同10%増の3411億円となっており、好結果を残した。

 ソニーグループ 代表執行役 社長 COO 兼 CFOの十時裕樹氏は「ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野や音楽分野が売上高、利益ともに大きく成長し、全体をけん引した。特にゲーム事業は、コンソ―ルの販売が好調だった他、サードパーティーのソフトの販売好調で期待以上の実績となった」と述べている。

photophoto ソニーグループの2024年度第3四半期連結業績(左)とセグメント別業績(右)[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 G&NS分野では、重視しているユーザーエンゲージメントの拡充も順調に進んでいる。「PS5」の購入ユーザーの42%が新規ユーザーとなっている他、月間アクティブユーザー数は、2024年12月は1億2900万となり、過去最高を更新した。ネットワークサービスの売上高も第3四半期は前年同期比で20%以上の成長となっている。十時氏は「季節的な変動により第4四半期は、第3四半期よりは落ちると思うが、2025年度は強いタイトルもあるので、さらなる成長が期待できる」と自信を見せる。

photophoto G&NS分野での2024年度第3四半期業績(左)と、ユーザーエンゲージメントの拡充の様子。月間アクティブユーザー数は過去最高となった(右)[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 イメージセンサーを中心としたイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野は、為替の好影響をモバイル機器向けイメージセンサーの減収が打ち消す形となっているが、2023年度から続いたモバイル機器向けイメージセンサー新製品の歩留まりの問題がほぼ解消し、想定通りの結果に戻ってきたという。モバイル機器向けイメージセンサーの売上高の年平均成長率は円ベースで23%、ドルベースで11%を維持しており、センサーの大判化と高付加価値化への流れを受けて、順調な成長を続けている。車載向けセンサーについては、欧米でのEV成長鈍化の影響はあるものの、中国のEVに採用されるセンサーの高付加価値化が進んでいることで、大幅に伸長しているという。

photophoto I&SS分野の2024年度第3四半期業績(左)とモバイル機器向けイメージセンサーの成長(右)[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 一方で、テレビやデジタルカメラなどのエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野は、テレビの減収やデジタルカメラの製品ミックスの悪化などにより減収減益となった。在庫水準は適正であるとしているが、2025年度以降も厳しい市場環境が想定されることから第4四半期にかけて、在庫最適化などに取り組むとしている。

photophoto ET&S分野の2024年度第3四半期業績(左)と四半期末在庫推移(右)[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

G&NS分野がけん引し、通期純利益は過去最高を更新する見通し

 G&NS、I&SS、ET&Sなどハードウェアを扱う領域では、米国トランプ政権における関税政策が大きな影響をもたらす可能性もあるが、その対策としてソニーグループでは、サプライチェーンの複線化などの取り組みに加え、米国内に一定水準の戦略在庫を積み上げることで、影響を抑える方針だという。

 2024年度の通期業績見通し(ソニー全体の連結)は、G&NS分野の伸長などにより増収増益を見込む。11月の見込み値に対し、売上高は4900億円増の13兆2000億円、営業利益は同250億円増の1兆3350億円、税引き前利益は同500億円増の1兆3850億円、純利益は同1000億円増の1兆800億円と予測する。純利益は過去最高を更新する見通しだ。

 十時氏は「第5次中期経営計画の初年度となる2024年度だが、グループ目標に向けて順調なスタートを切れたと感じている。特にG&NS分野、I&SS分野で利益を伸ばせているのはポジティブに捉えている」と手応えについて語っている。

photophoto ソニーグループの2024年度通期業績予想(左)とセグメント別業績予想(右)[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ
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