ベスト3に入らなかった中から、(編集担当にとって)興味深い記事を紹介しましょう。まず、第4位に入った「リアルタイムOSを取り巻く環境はこの5年で激変、今後も重要性は増していく」は連載「リアルタイムOS列伝」の最終回です。
コロナ禍まっさかりの2020年4月に始まった本連載ですが第60回でついに完結しました。今やIoT(モノのインターネット)機器と化した組み込み機器にとって、リアルタイムOSはなくてはならない存在です。連載筆者の大原雄介氏は、この最終回で「FreeRTOS」「Zephyr」「QNX」「PX5」を注目のリアルタイムOSとして挙げていますが、今後それぞれがどのような展開を見せるのかも追っていきたいと思います。
なお、リアルタイムOS列伝に続き、大原氏の新たな連載「プログラマブルロジック本紀」がスタートしています。ぜひご覧ください。
もう1本は、第10位に入った「国産ヒューマノイド開発のKyoHAに参画企業続々、2026年春にベースモデル完成へ」です。
京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)は、純国産のヒューマノイドを社会実装し、日本を再び「ロボット大国の最前線」へと押し戻すことを目標とする団体です。2025年6月に活動を開始しましたが、本記事で紹介した同年10月の発表会では一般社団法人化を果たしたことや新たな企業の参画などを報告しています。
冒頭で紹介したフィジカルAIによって実現される代表的なアプリケーションとなるのがヒューマノイドです。2025年12月開催の「2025国際ロボット展」では中国製の最新のヒューマノイドが多数披露され来場者に衝撃を与えましたが、ホンダの「ASIMO」やソニーの「QRIO」、トヨタ自動車のパートナーロボット、産業技術総合研究所の「HRPシリーズ」などヒューマノイド研究を長く続けてきたのは日本です。もはや中国や米国に追い付くことは不可能なのかもしれませんが、KyoHAや2025年3月に発足したAIロボット協会(AIRoA)の活動をてこに再び最前線に躍り出ることを期待しています。
ここからは、MONOist組み込み開発フォーラム年間ランキング恒例(?)の気になるおじさんシリーズです。
今回紹介するのは1人だけ。ニデック 名誉会長の永守重信氏です。既報の通り、2025年12月19日に同社の代表取締役 取締役 グローバルグループ代表(取締役会議長)を辞任し、非常勤の名誉会長となることが発表されています。
2025年のニデックは、2024年末に突如として発表した牧野フライス製作所の敵対的買収が失敗した上に、足元では会計不正問題で第三者委員会の調査が進むなど踏んだり蹴ったりな1年でした。
そして会計不正の要因として挙げられている「短期的収益を重視し過ぎる企業風土」は、創業者の永守氏の経営手法によるところが大きかったといわれており、今回の辞任につながったとみられています。
私自身は永守氏を直接取材した機会はあまり多くはないのですが、2017年1月に行われた2016年度第3四半期決算会見の内容は今でもよく覚えています。
会見の後半に永守氏が重視する経営手法に関する説明があったのですが、それが「井戸掘り経営」「家計簿経営」「千切り経営」から成る三大経営手法(マイクロマネジメント)です。それまでマイクロマネジメントというと、ダメなマネジメント職の管理スタイルという悪いイメージしかなかったのですが、永守氏は自信満々に「マイクロマネジメントを国内外で徹底することが不可欠」と言い切っていました。
そんな永守氏も、今回の会計不正問題で企業経営の第一線から引退するわけで、時代の流れを痛感せずにいられません。
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