2025年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、モバイルバッテリーをはじめとするアンカー製品のリコールの記事でした。
毎年恒例となりました組み込み開発フォーラムの年間ランキング記事です。2016年から始まりましたが今回で記念すべき10回目を迎えました。MONOist内での年間ランキング記事では前回と同じくトリを飾らせていただきます。本日までに公開された各フォーラムの年間ランキング記事もぜひお見逃しなく!
2025年は国内製造業にとってトランプ関税という外的環境に左右されたことが印象深い1年だったかと思います。各企業が行った2025年4月末〜5月上旬の2024年度決算、2025年7月末〜8月上旬の2025年度4〜6月期の決算発表はその話題でもちきりでしたし、トヨタ自動車の2024年度決算で2025年4〜5月分だけで1800億円の押し下げ要因になってるという話はなかなか衝撃的でした。
あと、組み込み開発フォーラム的には以前から注目していた「フィジカルAI(人工知能)」という言葉が2025年後半からバズワードとして各所で語られるようになったのも興味深いところです。NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏はAIの進化について、認識AI(Perception AI)から始まって生成AI(Generative AI)が登場し、複数の生成AIが連携するAIエージェント(Agentic AI)を経て、現実世界における自動運転やヒューマノイドを可能にするフィジカルAIが実用化されることを述べてきました。ただ、1年前の今頃は、フィジカルAIという言葉はなかなか広まらないなと思っていたのですが、ここにきて突然のブレークを果たしました。既に「フィジカルAI展」なる展示会も予定されるなど、2026年もフィジカルAIは注目を集めそうです。
それでは、2025年にMONOist組み込み開発フォーラムで公開した記事のランキング(読まれた回数)ベスト3とトップ10、そして(編集担当が)興味深かった記事を幾つか紹介したいと思います。
第1位に輝いたのは、「モバイルバッテリーでまたリコール、対象は41万台 経産省がアンカーに報告要求」でした。
2025年の夏はとても暑く、そして長かった印象がありますが、同じ時期に多く報道されていたのがモバイルバッテリーの発火事故です。中でもアンカー(Anker)製品によるものは、同社が高品質な製品を提供しているイメージが強かったこともあり注目を集めました。実は、アンカー・ジャパンは、2019年7月から多数のリコールを実施してきたこともあり、経済産業省が「(1)リチウムイオン蓄電池に関する国内販売全製品を対象とした総点検の実施」「(2)現在販売している製品についての製造/品質管理体制」「(3)実施するリコールの周知/広報の実施状況」「(4)実施リコールの進捗(しんちょく)状況」の4項目についての報告を要求するという結果になっています。
ちなみに私が唯一所有しているアンカー製品もAnker PowerCore 10000だったのですが、対象の製品型番ではありませんでした。ちょっとビビっちゃいましたね……。
第2位は「45万人だけが参加できる万博のパナソニックパビリオン、半年かけた実証実験も」でした。
日本国内における2025年の大きな話題の一つが「2025年大阪・関西万博」の開催でしょう。当初は来場者数があまり伸びず、ユスリカの大発生などネガティブな話題もありましたが、最終的には一般来場者数が約2558万人に達するなど大きな盛り上がりを見せました。本記事は、その万博開催直前に行われた、パナソニックパビリオン「ノモの国」の展示説明を紹介したものです。
モノをひっくり返した“ノモ”がノモの国の由来になっていることや、観覧時間が総計45分とかなり長めなことなど、話を聞くまで知らないことが多かったのですが、何より驚いたのは、これだけ充実した展示が詰め込まれているにもかかわらず、総来場者数見込みが45万人と少なかったことです。当初の万博の想定来場者数は2820万人でしたが、その1.6%にすぎません。ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンの代表的なアトラクションが来場者の1.6%しか利用しないなんてことはないですから、何とももったいないなと思った次第です。
第3位は、「リコーが“唯一無二”の複合機を開発、PFUのスキャナー技術を融合」でした。
本記事は、2025年2月にリコーが発表したカラー複合機の新製品発表会を紹介する内容になっています。PFUの業務用スキャナーとリコーのA3カラー複合機というそれぞれ世界シェアトップの製品の技術を組み合わせたことを最大の特徴となっています。
この発表会で興味深かったのは、リコーが進めてきたグループ経営体制の再構築の成果を示す内容になっていた点です。複合機の開発を担当したのは2024年7月にリコーと東芝テックの出資で発足したエトリアであり、そこに2022年7月にリコーグループの傘下に加わったPFUの業務用スキャナーの技術を融合しました。
実は、現在のリコー本体にはハードウェアを手掛ける事業は存在しておらず、エトリアやPFUといったグループ会社がその機能を担っています。精密機器メーカーとして成長してきたリコーがこの新たな体制でどのように成長していくのか興味深いところです。
第4〜10位については、以下のランキング表から記事内容を確認していただければと思います。
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