オリンパスの新CTOであるサヤード・ナヴィード氏が「OLYSENSE」「エンドルミナルロボティクス」「シングルユース内視鏡(SUE)」の3領域を重点プロジェクトとする中長期の技術戦略について説明。今後3〜5年で、これら3領域の新製品を市場投入していく方針である。
オリンパスは2025年9月25日、東京都内で会見を開き、同社 執行役 CTOのサヤード・ナヴィード氏が登壇して、「OLYSENSE」「エンドルミナルロボティクス」「シングルユース内視鏡(SUE)」の3領域を重点プロジェクトとする中長期の技術戦略について説明した。今後3〜5年で、これら3領域の新製品を市場投入していく方針である。
ナヴィード氏は1973年9月生まれの52歳。2003年に入社したBoston Scientificに15年在籍して技術開発や新製品開発を担う役職を歴任。2013年からは同社の内視鏡事業ユニットにおいて研究開発やイノベーション創出をリードした。2018年にBecton, Dickinson and Companyに移って泌尿器科&救命救急部門の研究開発を担当するワールドワイド・バイス・プレジデントを務めた。
オリンパスに入社したのは2022年で、2024年までの2年間は米国法人において重点プロジェクトの一つであるシングルユース内視鏡の研究開発に携わっていた。現職の執行役 CTOには2025年4月に就任。米国から家族とともに東京に転居して、研究開発拠点でもある八王子のグローバル本社で勤務している。
ナヴィード氏は「CTOに就任してからの約5カ月で新たにCTOビジョンを策定した。低侵襲医療のグローバルリーダーであるオリンパスの卓越性を確立するだけでなく、ハイテクイノベーションによる変革を推進するための方向性をまとめることができた」と語る。
このCTOビジョンは「グローバルな卓越性」「先端技術イノベーション」「成長のマインドセット」「価値あるイノベーション」の4項目から構成されている。グローバルな卓越性では、真にグローバルで卓越すべく「日本だけでなく世界のどこでもトップであること」(ナヴィード氏)を目指して、日本と米国、欧州に加えて中国とインドを加えたグローバルな研究開発体制の強化を進めていく。ただし、開発機能の約8割が集中する日本が中核であることは変わりなく、拠点間の距離や組織の壁を超えて水平分業で緊密に連携してサポートし合うことが重要だとしている。
CTOビジョンにおいて重視されているのがイノベーションだ。オリンパスはビジネスユニットとR&Dのロードマップを調和させ、明確な長期目標に基づく一貫した戦略を築くことを目的に2024年度から新たなイノベーションのアプローチを導入している。ナヴィード氏は「これまでオリンパスのR&Dはハードウェア志向が強かったが、今後の差別化の大きな要因になっていくであろうソフトウェアを重視した変革を進める上でもイノベーションは重要な役割を果たす。また、イノベーションを長期にわたって創出するためには組織やカルチャーを変革していくことも必要だ」と強調する。
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