クルマの電子化および電動化を背景にカーエレクトロニクスの進化が著しい。「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」でも多くの半導体/電子部品メーカーが出展し、カーエレクトロニクス関連のさまざまな提案を行っていた。
クルマの電子化および電動化を背景にカーエレクトロニクスの進化が著しい。「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」(2025年5月21日~23日、パシフィコ横浜)においても、多数の半導体/電子部品メーカーが出展し、カーエレクトロニクス関連のさまざまな提案を行っていた。本稿では、それらの展示の中から幾つかピックアップしてレポートとしてお届けする。
東芝デバイス&ストレージは、前回の「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」に引き続いて、車載ネットワークのCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)に関する展示を行った。
CXPIは日本自動車技術会が開発した日本発の規格であり、ISO 20794:2020として標準化されている。ビットレートは最大20kbpsとLINと同等だが、LINと比べてレスポンダーノードの応答性に優れており、例えばライトの点灯や消灯などの操作に対して速やかな反応が得られる。マルチファンクションステアリングやウィンカー、ドアミラー、ワイパー、ライトなどのスイッチから出るいわゆる「ジカ線」の集約が可能だ。
東芝デバイス&ストレージの展示は、前回は評価ボードレベルだったが、今回はウィンカー付きドアミラーに組み込んだ実アプリケーションに近いデモを行った。SDV(ソフトウェアデファインドビークル)を想定してイーサネットをCXPIに変換するブリッジボードを介したミラーの開閉やウィンカーの点滅を制御できることを示した。
CXPIドライバ/レシーバーIC「TB9032FNG」、CXPI搭載マイコンおよびCXPIインタフェースIC「TB9033FTG」をラインアップ予定であり、高いビットレートを必要としないボディー系ネットワークとして提案していく考えだ。
アナログ・デバイセズは製造/テスト工程向けソリューションの展示を強化した。ECUやセントラルコンピュータの電源設計者向け新製品が「LTPowerAnalyzer」である。同社の高機能アクティブラーニングモジュール「ADALM2000」と組み合わせて使用する。
電源系の周波数応答特性(位相余裕測定)、過渡応答特性、インピーダンス測定およびFFTの測定が可能である。1A、10A、50A、100Aの電流プローブ(負荷)が付属する。
車載用のプロセッサやAI(人工知能)アクセラレータは低電圧化と大電流化が進んでいて、電源系の設計の難易度も上がっている。同社は「LTpowerCAD」「LTpowerPlanner」「LTspice」などのツールを提供して電源設計をサポートしてきたが、「LTPowerAnalyzer」の投入により、静的解析だけでなく実回路の特性評価もサポートしていく考えだ。
「EVAL-ADMX2001」は、高性能かつローコストなインピーダンスアナライザだ。DCから10MHzまでのインピーダンス測定に対応する。
インピーダンスアナライザが一般的に数十万円以上するのに対し、EVAL-ADMX2001は周波数が10MHzが上限という制約はあるものの数万円と安価である。等価直列キャパシタンス、等価直列インダクタンス、等価直列抵抗、誘電正接(散逸係数)、Q値、インピーダンス、アドミッタンスなど18種類の測定モードを備える。
電気化学インピーダンス分光法(EIS)を用いたバッテリーの特性評価、タッチパネルなどの容量性または結合性のセンサーの評価、半導体のCV特性の評価、電源回路の補償ネットワークの設計などに活用可能だ。
アナログ・デバイセズはこの他にも、車載アプリケーションのソリューションとして、低ノイズDC-DCコンバーター「SilentSwitcherシリーズ」の最新世代である「SilentSwitcher 3」や、映像信号をシリアルバスで伝送する「GMSL(ギガビットマルチメディアシリアルリンク)」などを展示した。
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