ECUの統合がさらに進むゾーナルアーキテクチャの提唱を背景に、車載ネットワークはCAN/CAN FDからイーサネットへとシフトしつつある。特に注目を集めているのが2芯ケーブルが使える10BASE-T1Sや100BASE-T1だろう。
コネクターメーカーの日本端子は、IP67の防塵(じん)防水性能を持つ中継コネクター「Slim Ninja」を使用して、100BASE-T1の伝送特性のデモを行った。説明員によればSlim Ninjaは100BASE-T1を想定して設計されたわけではないそうだが、ネットワークアナライザーの測定ではインピーダンスは100Ω±6Ω程度の範囲に収まっており、現状のままでも安定した伝送が可能なことを示していた。
防水性能を持つことを生かして、外気に暴露する可能性のあるドアミラー部分などへの提案を進めていきたい考えだ。
車載ネットワークや電装系の見直しを背景に、コネクターに関しても競争が激化している状況だ。日本端子では48V対応の薄型コネクター「K93シリーズ」などの拡充も進めていて、自動車メーカーのニーズに応えていく。
「Slim Ninja」で中継した100BASE-T1の伝送特性。中央のピークがコネクターによる不整合で、目視での読み取りで106Ω程度を示していた。黄色の波形は左から右への伝送、緑色の波形は右から左への伝送。左右にある谷は基板と2芯ケーブルの接続部による不整合[クリックで拡大]ワイヤハーネスやメーターなどの自動車部品を手掛ける矢崎総業は、バッテリーセルをモジュール化したCCS(セルコンタクティングシステム/セルコネクションシステム)を展示した。
その一環として、バッテリーセルの充電状態やセル温度などをワイヤレスで収集する無線モジュールを参考として示した。ケーブルに比べて、軽量化、小型化、低コスト化が図れるとする。
通信規格にはBluetooth LE(Low Energy) 5.4を採用する。バッテリーモジュール全体が収められる金属ケース内でも安定した通信を維持できるように、一般的な逆F字型のアンテナパターンではなく、独自のアンテナパターンを開発し採用している。
同社はバッテリーモジュールの他、車両の床下配線のワイヤレス化やスライドドアのワイヤレス化向けに提案していく考えだ。
バッテリーセルをモジュール化したCCSのコンセプトモック。システム左下の基板に、セル電圧や温度のモニター回路および上記のワイヤレスICが実装されている。2029年の商用化をターゲットにしているという[クリックで拡大]クルマにタッチパネル付きディスプレイが搭載されるようになったが、従来のボタンやダイヤルとは異なり操作に対するフィードバックがないことが課題として指摘されている。そのため、クリック音などのフィードバックを与えるいわゆる「ハプティック(触覚)インタフェース」が提案されている。
積層セラミックコンデンサーや積層インダクターなどの積層素子を得意とする太陽誘電は、開発した積層圧電アクチュエータを用いてハプティックインタフェースのデモを行った。
超音波振動によってディスプレイやボタンの表面の摩擦を制御し、ザラザラ感やスムーズ感、クリック感、さらにはビープ音などを与えることができる。振動可能な周波数範囲はおよそ10〜35kHzである。現在、一部の自動車メーカーで評価が進められているとの説明であった。
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