2024年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、NVIDIAが「GTC 2024」の基調講演で発表した新GPUアーキテクチャ「Blackwell」の記事でした。
毎年恒例となりました組み込み開発フォーラムの年間ランキング記事です。2016年から始まって9回目となりました。気が早いですが2025年には記念すべき10回目に到達します。
MONOist内での年間ランキング記事では前回の2023年はトップバッターと務めましたが、今回は、2021年、2022年と同じくトリを飾らせていただきます。本日までに公開された各フォーラムの年間ランキング記事もぜひお見逃しなく!
2024年はコロナ禍から完全に脱してリアル回帰が鮮明になった1年でした。MONOistで取材したさまざまな展示会のほとんどで来場者数がコロナ禍前の2019年、もしくはそれ以上に戻っています。“元に戻った”と言いましたが、製造業にとってコロナ禍からの5年間は、それまでなかなか踏み出せていなかったデジタル化を一気に進める絶好の機会になっていたのではないかと思います。組み込み開発分野でも、開発する製品へのAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の導入にとどまらず、クラウドや生成AIを活用した開発環境のデジタル化なども進んでおり、そういう意味では元に戻ることはないのかもしれません。
それでは、2024年にMONOist組み込み開発フォーラムで公開した記事のランキング(読まれた回数)ベスト3とトップ10、そして(編集担当が)興味深かった記事を幾つか紹介したいと思います。
第1位に輝いたのは、『NVIDIAの新アーキテクチャ「Blackwell」は生成AI特化、汎用人型ロボットにも適用』でした。
2022年11月に発表されたChatGPTから始まった生成AIの一大ブームの中で、最も業績を大きく拡大させたのはNVIDIAでしょう。そのNVIDIAが、4年ぶりにリアル開催したユーザーイベント「GTC(GPU Technology Conference) 2024」の基調講演で発表されたのが本記事で紹介しているGPU「Blackwell」です。
Blackwellは、前世代の「Hopper」と比べて5倍となる20PFLOPSものAI(人工知能)処理性能を持つなど生成AIに特化したGPUアーキテクチャとなっています。2024年後半に大手クラウドベンダーなどへの提供を始めるとアナウンスされていましたが、量産が遅れる報道などもあってNVIDIAの株価が乱高下して株式市場に影響を与えたことも記憶に新しいところです。またGTC 2024では、組み込みAIボード「Jetson」の次世代モデル「Jetson Thor」にBlackwellのアーキテクチャに基づく次世代GPUを搭載することも明らかにしています。
2024年11月にはNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏が来日し、ソフトバンクグループ 代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏との対談を行いました。「ロボットAI革命をリードするのは日本がふさわしい」(フアン氏)ということで、製造業をはじめ日本企業との連携に大きな期待を寄せています。
第2位は「AIスタートアップのLeapMindが解散、12年の挑戦に幕」でした。
2012年12月創業のLeapMindは、IoTやAIがブームになる前から現在のエッジAIにつながるエッジデバイスへの機械学習モデルの実装を中心とした事業を展開してきたスタートアップです。国内AIスタートアップとして大きな成功を収めているPreferred Network(PFN)の創業が2014年3月ですから、LeapMindが業界に先駆けた存在だったことは確かです。
しかしながら全てのスタートアップが成功するわけではありません。IPO(株式上場)に至るまでの確率は10〜20%と言われていますし、その後もさらなる成長を遂げられるとはかぎりません。LeapMindはそういった成功例にはなれませんでしたが、所属されていた方々に知見やノウハウが伝わり、エッジAI分野での成功例を生み出す原動力になることを願ってやみません。
第3位は、「ラズパイ5にAIキットが登場、処理性能は13TOPS」でした。
Raspberry Pi財団からの2023年9月に発表されたラズパイ5ですが、国内での正式な販売開始は技適対応なども含めて2024年1月となりました。ラズパイ4と比べてCPU性能が2〜3倍となりGPU性能も向上、PCI Express 2.0などインタフェース周りの機能も拡充し、もはやシングルボードコンピュータというより小型コンピュータに近い製品になってきました。
3位に入った記事では、そのラズパイ5で高性能のAI推論処理を可能にする「Raspberry Pi AI Kit」を紹介しています。AIアクセラレータICとしては、イスラエルのHailo Technologiesが展開する「Hailo-8L」を採用しており、AI推論処理性能は13TOPSに達します。その一方で消費電力は1.5Wとかなり低く抑えられています。
なお、ラズパイ向けでは、ソニーセミコンダクタソリューションズがインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を搭載するAIカメラを発売するなど、エッジAI関連のエコシステムが充実しつつあります。
第4〜10位については、以下のランキング表から記事内容を確認していただければと思います。
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