インテルでFPGA製品を手掛けるPSG(Programmable Solutions Group)が、インテルからのスピンアウトによりアルテラ(Altera)として独立することを発表した。2015年のアルテラ買収から約10年間を経て、再びアルテラが独立企業としてFPGA製品を展開して行くことになる。
インテル(Intel)でFPGA製品を手掛けるPSG(Programmable Solutions Group)は2024年2月29日(現地時間)、PSGがインテルからのスピンアウトによりアルテラ(Altera)として独立することを発表した。2015年にインテルが167億米ドルで当時独立企業だったアルテラを買収して以降、独立した事業部門として統合された後、ネットワークやデータセンター、AI(人工知能)などを手掛ける事業部門に統合されるなどしていたが、再び独立企業のアルテラとして事業を展開して行くことになる。なお、インテルが株式の過半を持つためインテル傘下を示す「An Intel Company」とはなるものの、2024年4月の発足から2〜3年後を目標に株式上場を目指す方針である。
インテルのExecutive Vice PresidentでPSGのCEOを務めるサンドラ・リベラ(Sandra L. Rivera)氏は「FPGA市場は年率7〜8%で成長を続けており、2024〜2028年の5年間累計で550億米ドル以上の市場規模になると予測されている。進展著しいAI技術にもFPGAが必要とされており、さらなる成長が期待できる。このFPGA市場に対して、クラウドからエッジまで広範なポートフォリオを展開し、さまざまな顧客にイノベーションをもたらすべく、再びアルテラを独立企業としてスピンアウトすることを決めた」と語る。
インテルに買収されて以降、アルテラの組織はFPGA製品を手掛けるPSGとして統合されたが、ネットワーク機器やデータセンター向けでの事業展開に注力する方針に従って他事業部門に組み込まれた。この施策により、「Stratix」を中心としたハイエンド製品が世界のトップ10クラウドベンダーの内8社に採用されるなどの成果が得られた一方で、組み込み機器などに用いられるミッドレンジからローエンドの製品の展開は停滞していた。「独立企業となることで、CPUやGPU、AIアクセラレータを含めたポートフォリオの一つとしてFPGAを扱うのではなく、FPGAだけに専念して事業を展開できるようになる」(リベラ氏)という。
2023年1月には、FPGA製品を扱う事業部門としてPSGが独立するとともにリベラ氏がCEOに就任している。併せて、新たなFPGA製品のラインアップとしてハイエンド向けの「Agilex 9」と「Agilex 7」、ミッドレンジ向けの「Agilex 5」なども発表しており、新生アルテラの発足に向けた準備は整えられていた。
なお、Agilex 9はレーダーや宇宙防衛分野向けの広帯域データコンバーターとして、Agilex 7は同クラスの競合他社製品と比べて2倍の電力効率を持つネットワーク機器/データセンター向けの製品として既に量産出荷を開始している。2023年末からサンプル出荷を開始したAgilex 5は、同クラスの競合他社製品と比べて1.6倍の電力効率を持ち、組み込み機器やエッジアプリケーションに最適とする。さらに、従来品である「MAX」や「Cyclone」などに対応するローエンド品として「Agilex 3」の開発も進めているという。
また、統合開発環境である「Quartus Prime」に加えて、FPGAに組み込むAIモデルの開発に対応する「FPGA AI Suite」や、インテル製品全般のビジョンAI開発に適用可能な「OpenVINO」などにより、新生アルテラとなっても一気通貫のプロセスフローで製品開発を行えることがメリットになるとしている。
リベラ氏は「2015年に買収したアルテラと、2024年に新たに独立するアルテラは同じ社名だが、AIを中心にFPGAを取り巻く環境は大きく変化している。グローバルのリーダー企業であるインテルの組織体制や知見を受け継ぎつつ、独立企業として柔軟かつスピーディーにFPGA市場にフォーカスして事業を展開して行きたい」と述べている。
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