AMDは、「Financial Analyst Day 2022」において、旧Xilinx(ザイリンクス)とAMDのEmbedded部門を組み合わせる形で新たに構成されたAECGの事業戦略を発表した。AECGのトップには、XilinxでCEOを務めたビクター・ペン(Victor Peng)氏が就任するなど、組み込み向けロードマップは旧Xilinxが主導する形で構築が進んでいる。
AMDは2022年6月10日(現地時間)、「Financial Analyst Day 2022」を開催し、同社の財務状況のアップデートに加え、各部門の状況や今後のロードマップについて説明を行った。旧Xilinx(ザイリンクス)は同年2月のAMDによる買収後、AMDのEmbedded部門と組み合わせる形で新たに構成されたAECG(Adaptive and Embedded Computing Group)に組み込まれており、そのAECGのトップにはXilinxのCEOだったビクター・ペン(Victor Peng)氏が就いている(現在の肩書はPresident, AECG)。そんなわけで、FPGAに加えて組み込みプロセッサも傘下に置いたAECGの状況とロードマップを簡単に説明しておきたい。
まずAECGのミッションはこちら(図1)。CPUとGPUもリソースとして利用できるようになったことで、もともとペン氏がXilinxのCEOに就いたときの“Datacenter First”戦略をむしろ進めやすくなった、ともいえる。
さて、AMDの買収直前におけるXilinxの売上高と2025年のTAM(獲得可能な最大市場規模)はこんな感じだった(図2)が、AECGになったことでTAMが3倍にも膨れ上がった、という見通しを語った(図3)。
次がマーケット。まずデータセンター向けであるが、プロセッサの「EPYC」そのものはAECGではなくServer UnitあるいはData Center Solutions Business Groupの役割なので、ここではアクセラレータがメインになる。そのアクセラレータも、Pensando Systems(ペンサンド)の買収(同社の製品はData Center Solutions Business Groupに属する形になるもよう)で、本格的なIPU(インテル用語:AMDではここをDPUと称している)はこちらに振るとして、その手前を「Alveo」やFPGA/ACAPでカバーする、という形になる(図4)。
一方でCommunicationsに関しては、もうほとんどを旧Xilinxベースの製品で占めており、強いて言えばこれまでコントローラーに「Xeon」などを使っていたところにEPYCや「EPYC Embedded」を提案できるようになったという程度だろうか(図5)。
問題はAutomotiveで、従来のFPGA/ACAPベースのソリューションは別に変化は無いが、インフォテインメントやコックピット内監視などに「Ryzen Embedded」を使える、としているのだが(図6)、これだけで2025年に270億米ドル(約3兆6000億円)ものTAMが生まれるかどうかはちょっと疑問なところだ。逆にEmbeddedはこれまでの製品に加え、Ryzen EmbeddedやEPYC Embeddedをそのまま入れられるだけに、素直にマーケットが広がる形になる(図7)。
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