さて、ここからが新しい話。まずFPGA側だが、現在の「Versalシリーズ」は6シリーズ(AI Edge/AI Core/AI RF/Prime/Premium/HBM)のうち5つが既に出荷開始されており、残るはAI RFのみである。といっても技術的にはZynq UltraScale+ RFSoCなどに搭載されたRF周りをVersal AI Coreあたりと組み合わせるだけの話だから、それほど難しいものではない。これに続く製品だが、2025年までに3nmプロセスで新しいAdaptive SoCを提供するとした(図8)。
またCPUの方は、2024年までに、5nmプロセスのEPYC Embeddedと、6nmプロセスのRyzen Embeddedをそれぞれ投入するとしている。EPYC Embeddedの方はGenoaコアベースの製品で、一方Ryzen Embeddedの方はRembrandtベース(Ryzen 6000 Mobile)のものと思われる。恐らく先に投入されるのがRyzen Embeddedで、これは現在のRembrandtをEmbedded向けに転用する形だ。一方EPYC Embeddedの方は、2022年後半に投入予定とされるGenoaコアベースのダイを利用した製品になると思われる。
さて、ここからがちょっと面白い。これまでAMDは、AI(人工知能)向けプロセッサであるNPUを独自に提供してこなかった。一方で、Xilinxは「Versal AIシリーズ」で「AI Engine」を自前で実装している。厳密にいうと、「Versal AI Core」と「Versal AI Edge」では少し内部構造が変わっており、Versal AI Coreでは対応していなかったINT4/BF16のサポートがVersal AI Edgeに搭載された「AI Engine-ML」では追加されている他、乗算器を倍増させてINT8における性能が倍増したりしている。
そして、AECGというかこれは全社的なロードマップなのだろうが、「PERVASIVE AI」と題して全てのAECGのコンポーネントでAI処理ができるようにする(図9)方向性を示した。
この一環として、現在はNPUを持たないRyzen/EPYCにAI Engineを追加するとともに、全体を包括的なソフトウェアソリューションでカバーする方向性を示した(図10)。
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