ベスト3に入らなかった中から、(編集担当にとって)興味深い記事を紹介しましょう。まず、第6位に入った「たかが抵抗1本されど抵抗1本、プルアップ抵抗の役割とは」ですが、こちらは2024年5月スタートの新連載「今岡通博の俺流!組み込み用語解説」の第3回となります。
筆者の今岡氏には「注目デバイスで組み込み開発をアップグレード」などの連載も展開してもらっていますが、改めて今岡氏流で組み込み開発の基礎解説をお願いしてスタートしたのが本連載になります。現在第9回まで進んでおり、年明け早々には第10回を公開する予定ですので、皆さま楽しみにお待ちください。
もう1本は、第20位に入った『東工大「TSUBAME 4.0」は“みんなのスパコン”としてどのような進化を遂げたのか』です。2024年8月スタートの新連載「AIとの融合で進化するスパコンの現在地」の第1回記事で、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」の総責任者を務めた松岡聡氏が東工大時代に手掛けたTSUBAMEの最新モデルを紹介しています。
エッジAIに取り組む上でも、AIとの融合が進む最先端のスーパーコンピュータが現在どのような進化を遂げているのかを知ることも重要です。本連載では、大学や研究所などのアカデミアのスーパーコンピュータの最新事例を取り上げていきますのでご期待ください。
⇒連載「AIとの融合で進化するスパコンの現在地」バックナンバー
ここからは、MONOist組み込み開発フォーラム年間ランキング恒例(?)の気になるおじさんシリーズです。
最初に挙げておきたいおじさんは、パナソニック くらしアプライアンス社 社長の堂埜茂氏で、『シェア低下にあえぐパナソニックの白物家電、「引き算の商品企画」で中国勢に対抗』の記事に登場しています。実は2024年6月27日発行のモノづくり総合版 メールマガジンの編集後記で2024年最も印象的だった“おじさん”候補として取り上げているのですが。年間通してもそのインパクトは変わらなかったので、ここでも紹介したいと思います。
堂埜氏とは直接対面したわけではないのですが、2024年6月7日にパナソニック ホールディングス(パナソニックHD)がオンラインで開催した事業会社戦略説明会で、堂埜氏が話した内容と話し方が強く印象に残りました。
メディアやアナリストが参加するタイプの説明会ですから、登壇者は話す内容は慎重に言葉を選び当たり障りがないように話すのが一般的です。しかし、堂埜氏の話は白物家電を扱うパナソニックのくらしアプライアンス社の厳しい状況を包み隠さず伝えた上で、これから課題にどのように対処していくかを端的に説明しており、オンラインの説明会であるにもかかわらず画面の向こうから何かエネルギーを感じさせるものでした。
先述した編集後記では堂埜氏のことを“野武士”と表現したのですが、今後のくらしアプライアンス社をどのようにかじ取りしていくのか興味深いところです。
もう1人は、今回の2024年のランキング第1位記事に登場するとともに、2017年の組み込み開発ランキングの記事で“革ジャンおじさん”として紹介した、NVIDIA 創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏です。
NVIDIAが4年ぶりに開催するユーザーイベントのGTC 2024を取材して間近に見てきたこともありますが、企業人として世界で最も乗りに乗っている人物の一人と言っていいのではないかと思います。日本向けのユーザーイベントの講演でも、孫正義氏と楽しそうに対談するんですよね……。
現在は、生成AI関連のインフラはNVIDIAの独壇場になっていますが、AMDや死に体とみられているインテル、そしてその他の企業も対抗すべくさまざまな施策を展開しています。エッジAIの分野でもNVIDIAのJetsonに死角がないわけではありません。このNVIDIA包囲網の中でも、これまで何度も逆境を乗り越えてきたフアン氏は勝ち抜いていくのではないか。改めてそのエネルギッシュさを見せつけた“革ジャンおじさん”の強さに感じ入った次第です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.