パナソニックグループで家電や空調設備、電材などの事業を展開するパナソニック CEOの品田正弘氏が報道陣による合同取材に応じた。足元で厳しい環境にある白物家電事業を中心にどのような取り組みを進めていくのかについて説明した。
パナソニックグループで家電や空調設備、電材などの事業を展開するパナソニック CEOの品田正弘氏は2024年6月10日、報道陣による合同取材に応じ、足元で厳しい環境にある白物家電事業を中心にどのような取り組みを進めていくのかについて説明した。
品田氏は、同年6月7日にパナソニック ホールディングスが開催した事業会社戦略説明会に登壇し、パナソニックが管轄するくらし事業全体の直近2年間の業績を振り返った上で、今後の競争力強化の方向性を打ち出した。
2021年度対比で2023年度のパナソニック全体の業績は増収増益となったが、電材を扱うエレクトリックワークス社(EW)と食品流通向け冷凍/冷蔵機器を手掛けるコールドチェーンソリューションズ社(CCS)が好調に推移した一方で、白物家電を展開するくらしアプライアンス社(LAS)と空調/冷熱機器を中核とした空質空調社(HVAC)は業績目標に対して大きく未達となった。
2022〜2023年度累計で見た業績目標に対する未達金額は、LASが売上高で706億円、利益指標であるEBITDAが278億円、HVACが売上高で501億円、EBITDAが498億円に上る。LASは、コロナ禍明けで白物家電の巣ごもり需要が一巡したことによる世界全域での需要悪化が最大の要因だが、国内市場でのシェア低下も影を落としている。HVACについては、欧州のA2W(Air to Water)事業がロシアによるウクライナ侵攻の余波でEU政府の施策が延期になり当初想定よりも大幅に需要が低下したのに加えて、民生/業務用の空調機器を扱うA2A(Air to Air)事業も環境変化への対応力が不十分で計画未達となった。
これらの結果を踏まえ、2025〜2027年度の次期中計に向けた施策として、まずはHVACのA2A事業については早期に構造変革を進めて収益改善を図り、EWとCCSは競争力が強化できた事業としてさらなる成長を目指しながら、LASとHVACのA2W事業は現時点で競争力強化の途上にあるとしてブレずに強化を維持継続する方針を打ち出した。主要な業績目標となっているEBITDA率は、2024年度の7.1%に対して、2027年度には10%を達成し、2028年度からの次々期中計におけるさらなる高収益化につなげたい考えだ。
品田氏は「これらの施策によって市場動向に俊敏に対応する体制を構築しながら、10年、20年かけてやり続けるべき中長期の取り組みとしてカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの2つも進めていく。これら2つでは、ウェルビーイングとサステナビリティを高い次元で両立することが求められるが、カーボンニュートラルでは水素活用のRE100ソリューションやA2W事業、サーキュラーエコノミーでは新販売スキームと実需連動SCM(サプライチェーンマネジメント)、家電をリファービッシュして販売する『Panasonic Factory Refresh』などによって可能になると考えている」と語る。なお、RE100ソリューションについては、2024年11月に英国カーディフの電子レンジ工場での実証を開始する計画だ。
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