2022年に公開したMONOist組み込み開発フォーラムの記事をランキング形式で振り返る。1位に輝いたのは、2021年も1位になった半導体不足の記事でしたが、問題解消に向けた光明も見えつつあります。
毎年恒例となりました組み込み開発フォーラムの年間ランキング記事です。2016年から始まって7回目になりますし、まぁ恒例といってもいいでしょう。
2021年の年間ランキング記事は、1位が半導体不足、2位がROS連載の第1回、3位がAI(人工知能)カメラの新年展望記事という内容でした。現在も業界内の課題や話題として注目されていることを考えると、1年前のことながらやはり読まれる記事というのは時流に合ったものなんだなと感じます。
さて、2022年も2021年に引き続き年間ランキング記事のトリを飾ることになりました。ちなみにここまで出た4本の記事タイトルを見ると「品質」「半導体」という言葉が散見されますね……。
それでは、組み込み開発フォーラムの年間ランキングではどうだったんでしょうか。2022年にMONOist組み込み開発フォーラムで公開した記事のランキング(読まれた回数)ベスト3とトップ10、そして(編集担当が)興味深かった記事を幾つか紹介したいと思います。
第1位に輝いたのは、『2022年後半は半導体不足が解消し調整局面へ「それでも足りないモノは足りない」』でした。2022年も読者の困りごとの中心は、半導体を中心としたモノ不足にあったのは否めないところでしょうか。
本記事はオンライン半導体商社であるコアスタッフが2022年7月に行った会見が基になっていますが、最大のトピックは2022年春までは見通せなかった半導体不足の解消を示唆している点でしょう。実際に、2022年度の大手企業の中間決算を見ても半導体不足の影響は徐々に落ち着きつつあることが分かります。ただし、既に半導体不足が解消しているのはPCやスマートフォン向けのCPU/GPU、メモリなどの先端製品であり、日本の製造業が求める非先端の半導体については、まだまだ「足りないモノは足りない」という状況ではあるのですが……。
そして第2位は「リコーのPFU買収はベストマッチ、国内組み込みコンピュータ市場で圧倒的トップに」でした。富士通の傘下にあったPFUのリコーによる買収は、買収規模は840億円とそれほど大きくないものの国内大手企業間での決定ということもあり注目を集めました。
PFUは、近年ではイメージスキャナー「ScanSnap」やPC用キーボード「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」などで広く知られており、それらの製品がリコーの事業戦略にどう生かされるのが注目点でした。しかし、MONOist組み込み開発フォーラム的には、インテルCPUを搭載する組み込みコンピュータのトップベンダーの1社であるPFUと、リコー子会社で産業用PCをはじめ組み込みコンピュータも手掛けるリコーインダストリアルソリューションズが一体となる点にも注目しました。両社合計で31%となる国内シェアは圧倒的トップになるということで、今後の展開に注目です。
第3位に入ったのは、「LANケーブルから直接パケットを取得するワイヤタッピングプローブ」でした。
本記事を執筆した今岡通博氏は、Scratchやmbed、Arduino、MQTTなどさまざまなテーマで解説記事を寄稿してもらっています。今回の記事は、ハッカーの祭典で知られる「Black Hat」への投稿論文を基にした連載「Black Hatでハードウェアハック!」の第1回で、映画などでよく見かけるLANケーブルに直接アクセスしてデータを抜き取ってしまうハッカーのようなことが可能になります(実際にはさまざまな制限があるので実用的ではないのですが)。
今岡氏は連載「注目デバイスで組み込み開発をアップグレード」も執筆しておりますので、併せてお読みいただければと思います。
第4〜10位については、以下のランキング表から記事内容を確認していただければと思います。
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