リコーが、富士通の子会社であるPFUの買収とその狙いについて説明。リコー 代表取締役 社長執行役員の山下良則氏は「リコーが提供するデジタルサービスを広げていく上で、ベストマッチといえる買収ではないか」と強調した。
リコーは2022年4月28日、オンラインで会見を開き、同日開催の取締役会で決めた、富士通の子会社であるPFUの買収とその狙いについて説明した。リコー 代表取締役 社長執行役員の山下良則氏は「リコーが提供するデジタルサービスを広げていく上で、ベストマッチといえる買収ではないか」と強調した。
今回、リコーと富士通が締結した契約では、富士通が所有するPFUの普通株式のうち80%をリコーが取得し、PFUはリコーの連結子会社となる。富士通も20%の株式保有を続けるため、PFUは富士通の持分法適用会社となり、一定の関係性を保つことになる。また、PFUの株式譲渡に合わせて、リコーと富士通は、両者の得意分野を補完・強化するアライアンス関係の構築を目指すとしている。
リコーの株式取得金額は840億円で、株式取得実行日は2022年7月1日を予定している。PFUは、リコーの連結子会社となるものの、社名は今まで通りPFUを承継する。PFUが展開する、石川県かほく市の本社、横浜みなとみらい地区の横浜本社などの拠点、グローバルの従業員4491人の雇用も継続する。山下氏は「社名だけでなく、世界ナンバーワンのスキャナーをはじめとするPFUの競争力の高いビジネスを継続していく」と説明する。
PFUのコロナ禍前の業績は、2019年度が売上高1173億円、営業利益49億円、経常利益56億円、当期純利益47億円、コロナ禍の影響が直撃した2020年度が売上高1149億円、営業利益12億円、経常利益19億円、当期純利益23億円で、現預金も約380億円保有している。リコーによれば、PFUの企業評価額は820億円だという。
PFUの事業は、「ScanSnap」で知られるスキャナーをはじめとするドキュメントイメージング事業(売り上げ構成比40%)、マネージドセキュリティを強みとするインフラカスタマサービス事業(同45%)、国内の装置/設備メーカー向けに組み込みコンピュータを展開するコンピュータプロダクト事業(同15%)の3つで構成されている。
山下氏は、リコーが事業拡大を目指すデジタルサービスにおける、顧客価値を高めていく4つの領域を挙げた上で、PFUの買収は「ワークフローのデジタル化」「ITインフラの構築」「現場のデジタル化」の3つと大きく関わると説明した。「ドキュメントイメージング事業の世界シェアナンバーワンのスキャナーは、ワークフローのデジタル化のまさに入り口として重要な役割を果たす。インフラカスタマサービス事業は、国内ITサービスという意味ではリコーの事業と重なるように見えるが、マネージドセキュリティなどこれまでリコーがカバーできていないサービスに強みがある。リコーとPFUはベストマッチングといえる」(同氏)。
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