コアスタッフが足元の半導体市況や今後の展望について説明。2020年後半から続く半導体と電子部品の厳しい供給不足が全般的には解消に向かいつつあり、今後約半年〜1年間は調整局面に入る可能性が高いという。ただし、32ビットマイコンやパワー半導体などは入手しにくい状況が続いており、これらの製品については供給不足が続く見込みだ。
コアスタッフは2022年7月5日、オンラインで会見を開き、足元の半導体市況や今後の展望について説明した。2020年後半から続く半導体と電子部品の厳しい供給不足が全般的には解消に向かいつつあり、今後約半年〜1年間は調整局面に入る可能性が高いという。ただし、32ビットマイコンやパワー半導体などは入手しにくい状況が続いており、これらの製品については供給不足が続く見込みだ。
独立系のオンライン半導体商社であるコアスタッフは、自社在庫として10万点を有しており、これに加えて他社在庫600万点をWeb上で発注できることを特徴としている。2021年度はこれまでにないレべルで半導体と電子部品の供給不足が続き、同社の緊急調達サービスなどへの引き合いが大幅に増加するなどして、売上高が前年度比約3.1倍の261億4000万円となった。
コアスタッフ 代表取締役の戸澤正紀氏は「当社の将来の成長に向けて大きな1年間にはなったが、この売上高が現在の実力を正しく示しているとはいえない。物流面での課題により納期の遅延が発生するなど、今後に向けて対応すべきことは多い」と語る。実際に、現行の物流センター(長野県佐久市)の近くに、敷地面積が従来比7.7倍、延べ床面積が同5.3倍となる新たな物流センターを2024年度をめどに新設する計画も明らかにした。この他、欧州の電子機器有害物質規制(RoHS)の対象に新たに加わったフタル酸系4物質の検査にも対応する設備の導入なども計画している。
2021年度は、従来と比べて100倍の価格で売られる製品があるなど、半導体と電子部品の供給不足はかなり厳しい状況だった。コアスタッフでは、2021年6月、同年12月、2022年3月と受注のピークがあり、足元の需要もそれほど落ち込んではいない。戸澤氏は「まだ価格が20〜30倍になっている事例もある。極端な状況だった2021年度に対して、2022年度は反動が来ると考えているが、中堅中小企業にはまだモノが回り切っておらず、あと2〜3カ月はニーズが高いとみている」と説明する。
現時点でも不足しているのが、32ビットマイコンや非最先端のCPU、電源IC、FPGAなどだ。また、複数の半導体と電子部品の組み合わせで構成されるモジュールも不足しているという。「北米の寒波により樹脂材料が供給されなかったコネクターの不足はほぼ解消した。コンデンサーも十分な量が供給されている。やはり需要が突出しているのは半導体だ」(戸澤氏)。
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