ソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」。第20回は、生成AIを活用してより効率の良い要求仕様書の作成に挑戦してみよう。
山浦恒央の“くみこみ”な話の連載第170回から、入門者をターゲットとして、「イチから全部作ってみよう」というシリーズを始めました。このシリーズでは、多岐にわたるソフトウェア開発の最初から最後まで、すなわち、要求仕様の定義、設計書の作成、コーディング、デバッグ、テスト、保守までの「開発フェーズ」の全プロセスを具体的に理解、経験することを目的にしています。
興味がある方は、連載第170回からバックナンバーをご覧ください。
前回は、ヒアリングシートからワインショップのECサイトの要求仕様書を作成しました。今回は、生成AI(人工知能)を活用して、もう一歩踏み込んだ要求仕様書作成に挑戦しましょう。
連載第187回でも触れましたが、生成AIは、ソフトウェア開発の業務と相性抜群です。例えば、ドキュメントの作成、プログラミング、バグの調査などの高度な作業を素早くこなします。あまりに強力なので、極論、「ITスキルがなくてもソフトウェアを作れる時代が到来しつつある」と感じるほどです。
プロンプトとは、生成AIに対する指示文です。これを的確に書くことが非常に重要です。例えば、プログラムを作る際に、「異常ケースを考慮すること」と伝えないと、正常ケースしか書いていないプログラムを出力するでしょう。AIに対して、期待する出力を得るためにも、プロンプトをしっかり整える必要があります。
プロンプトを最も簡単に作るには、生成AIに「プロンプトの作成」を丸投げするとよいでしょう。下記に、代表的な生成AIサービスである「ChatGPT」の最新版「ChatGPT-4o」に「プロンプトの作成」を丸投げするためのプロンプトを示します。
最適なプロンプトを提案してください。
要求仕様書を作成します。対象は「個人経営のワインショップのECサイト」で、PC向けにシンプルなUIを想定しています。完成度は、たたき台を想定しています。
そして、筆者の環境で出てきたプロンプトの出力結果を以下に示します。このように、プロンプトそのものを生成AIに出力してもらうと楽にプロンプトを作成できます。
「個人経営のワインショップのECサイト」の要求仕様書を、たたき台レベルで作成してください。
前提条件は以下の通りです:
以下の構成で出力してください:
出力はプレーンテキスト形式で、視認性の高い構成(見出し、箇条書き)にしてください。
内容はたたき台レベルでかまいませんが、漏れがないように一通りの項目をカバーしてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.