転職サービス「doda」が「リスキリング」をテーマにした「ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」の結果を発表した。個人の8割以上、企業の約7割が「リスキリング制度の充実で転職先への志望度合いが上がる」と回答した。
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は2023年1月24日、「doda ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」の結果を発表した。第4回となる今回の調査テーマは「リスキリング(学び直し)」だ。
同調査の前に、dodaが取り扱う約17万件の求人票を確認したところ、「リスキリング関連の支援体制を記載している求人票数」が2021年1月から約2.7倍伸長していた。
同調査は個人向けと企業向けの2つを実施した。個人向け調査は全国に住む、転職について検討しているか興味を持っている人でリスキリングを知っている20〜30代の男女会社員200人を、企業向け調査は全国に住む、リスキリングを知っている20〜60代男女の中途採用、人事担当者200人を対象とした。
まず、個人に対してリスキリングに取り組んでいるかを尋ねたところ、「取り組んでいる」は60.0%だった。「今後取り組む予定」は29.5%で、個人の9割近くがリスキリングを実践または実践予定と回答していることが分かった。
企業向け調査で尋ねた「自社のリスキリング推奨状況」では、「現在取り組んでいる」は38.0%にとどまっている。個人の60%が回答した「取り組んでいる」の内訳を見ると、「現在自発的に個人で取り組んでいる」が40.0%、「現在勤務先の指示、推奨で取り組んでいる」が20.0%で、個人の学びたい意向と、企業の体制整備にずれがあることがうかがえる結果となった。
なお、企業の「自社のリスキリング推奨状況」は、「現在取り組んでいる」の38.0%と「今後取り組む予定、検討中」の44.5%を合わせると82.5%となり、今後リスキリングに取り組みやすい環境が整備されると推測される。
次に、個人に「リスキリングに取り組んでいる理由」を、企業に「リスキリングの推奨に取り組んでいる理由」を尋ねた。その結果、どちらも「スキル向上」が最も多かった。個人の47.5%、企業の61.8%が回答している。
個人の2位は「今後の転職を見越した自身の市場価値向上のため」(36.7%)、3位が「仕事の効率性、生産性を上げるため」(30.8%)だった。個人はリスキリングを、業務効率を上げる方法という以外にも、転職を優位に進めるための方法の1つとして捉えているようだ。
企業の2位は「社会のニーズ変化に対応していくため」(52.6%)、3位が「社員のキャリアアップをサポートするため」(51.3%)となっている。
続いて、リスキリングに取り組んでいる個人と、リスキリングの推奨に取り組んでいる企業に「リスキリングにおける課題」を尋ねた。その結果、上位には「時間の捻出が難しい」(個人37.5%で2位、企業36.8%で2位)「モチベーションの維持が難しい」(個人30.0%で3位、企業42.1%で1位)が挙がった。個人の1位は「費用の捻出が難しい」(38.3%)だが、企業では5位(22.4%)にとどまっている。
他には、「社内制度の未整備」(個人24.2%で5位、企業30.3%で3位)や、個人の「自分が取り組むべきことが何か分からない」「スキルを習得する方法が見つからない」(ともに22.5%)という回答も挙がっており、リスキリングへの機運は高まっているものの、準備や制度が整っていない状況が推測できる。
また、転職活動をする上で、リスキリング制度の充実具合によって、転職先企業への志望度合いが変化するか調べた。個人は「志望度合いがとても上がる」「志望度合いがやや上がる」を合わせて「志望度合いが上がる」が81.0%を占めた。企業も「転職希望者の志望度合いが上がる(と思う)」と69.0%が回答した。リスキリングへの関心の高まりが分かるとともに、転職先の選定にも影響を与えることがうかがえる結果となっている。
最後に、個人に「リスキリングで学びたいこと」、企業に「学ばせたいこと」を尋ねた。個人の1位は「語学関連」(17.5%)、企業の1位は「思考プロセス関連」(22.5%)となり、異なる結果となった。
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