NECは、リモートセンシング技術のLiDARを活用した異常検知分析エンジンを開発した。対象物の外観データを可視化し、異常を検知するもので、2020年10月よりフィールド検証を実施する。
NECは2020年9月7日、リモートセンシング技術のLight Detection And Ranging(LiDAR)を活用した異常検知分析エンジンを開発したと発表した。対象物の外観データを可視化し、異常を検知する。
LiDARは、レーザーなどの光を対象物に照射して反射光を捉え、対象物までの距離や輝度を測定して対象物の形状、輝度を読み取る技術。測定結果は点群データとなり、対象物を可視化できる。
今回開発した異常検知分析エンジンは、得られたデータに基づき、周辺と異なる輝度、過去データと異なる形状、輝度を分析し、対象物の異常を検知する。LiDARは、異常値に関するデータの学習、蓄積がなくても異常を検知するため、不具合が発生することがまれだという特徴がある。そのため、あらかじめ異常値のデータ収集が困難な設備で、巡視点検の代替手段として活用が期待されている。
同社は2019年8月より、LiDARの現場業務への活用可能性を検証するため、研修用変電設備の異常検知に関係する技術検証を福島県南相馬市の東北電力ネットワーク総合研修センターで実施。営巣、漏油、がいし破損などの異常を模擬した環境を用意し、検証した。その結果、LiDARから20m以内に設置した模擬異常の全てとなる営巣3カ所、リード線外れ2カ所、がいし破損1カ所、漏油5カ所を検知できた。
さらに2020年10月より、東北電力ネットワーク宮城管内の変電所にて、今回開発した異常検知分析エンジンを用いた巡視点検システムのフィールド検証を実施する予定だ。今後、LiDARを活用した異常検知分析エンジンの改良を進め、2020年度中に製品の販売開始を目指す。
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