ジェイテクトは「IIFES 2025」において、「TOYOPUC」用の耐環境リモートI/O「TBIPシリーズ」を展示した。IP69K対応のため制御箱レスで設置でき、安全/一般信号の混在通信も可能。省スペース化と配線効率化を実現する。
ジェイテクトは「IIFES 2025」(2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト)において、同社のPLC(プログラマブルロジックコントローラー)「TOYOPUC」のラインアップに新たに追加された、FA制御機器用耐環境リモートI/Oユニット「TBIPシリーズ」を展示した。
TOYOPUCは、トヨタ生産方式(TPS)の思想に基づき開発されたジェイテクトのPLCブランドで、自動車を中心に各種製造現場で採用されている。
製造現場において、PLCに伝送するためのセンサーやスイッチの信号をまとめる、I/Oユニットの設置環境には制約がある。一般的なI/Oユニットは防水性を有していないため、水が飛散する加工現場や洗浄工程では、金属製などの制御箱/端子箱へ収納した上で設置しなければならないからだ。
そこで、TBIPシリーズでは、接続インタフェースに防水加工を施したM12コネクターを採用。加えて、IP69Kの防水/防塵(じん)性能としたことで、筐体の保護を必要としない設計を実現した。これらにより設置工数削減や省スペース化、設備レイアウトの自由度向上に貢献する。
TBIPシリーズのもう1つの大きな特長は、通信プロトコルに「CIP Safety over EtherNet/IP(以下、CIP Safety)」を採用したことだ。従来、安全機器と一般制御機器の信号は別系統の配線が必要であり、ケーブル本数の増加や複雑化を招いていた。同シリーズでは、安全用I/Oと一般用I/Oの信号を混在して扱えるCIP Safetyを使用することで、単一のLANケーブルでPLCに伝送できるようになった。また、機能安全規格であるIEC 61508のSIL3認証を取得しており、高い信頼性が求められる安全系システムにも適用できる。
「制御機器設置時の配線ミスや稼働後の断線リスクが低減され、タフな自動化ラインの構築が可能になる。使用場所としては工場内の加工ラインや、洗車機、立体駐車場といった水気のある環境を想定している」(ジェイテクトの説明員)
ブースではI/Oユニットと接続する関連製品として、2025年10月に発表した環境性能強化型近接センサー「APS-CFシリーズ」も紹介された。
APS-CFシリーズはIP67に準拠しており、長時間の浸水や洗剤を用いた洗浄環境下での機能検証をクリアしている。形状は検出距離が4/7/10mmの3タイプを用意。ジェイテクトでは2026年中に、油や高圧洗浄機への耐性を高めたIP69K対応版の開発も予定している。TBIPシリーズと組み合わせたトータルでの耐環境ソリューションを強化していく方針だ。
防水IP69K対応で端子箱レス設置を実現するリモートI/O、TOYOPUCに追加
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