マルチモーダルAIロボットの特徴は3つある。1つ目は、実行したい作業内容について、VRシステムなどを用いたティーチングによってプログラミングすることなくディープラーニングによるアルゴリズムを得られることだ。2つ目は、カメラの画像や力覚センサーの情報を基に作業内容に関わる動作を時系列で覚えて再帰的に実行するRNN(リカレントニューラルネットワーク)をディープラーニングに用いていること。RNNの採用によって、作業内容を途中の段階からでも始めることができ、ティーチングも少ない回数で済ませられる。
そして3つ目は、ORiNやEtherCATといったオープンな規格の活用を基に、全ての構成要素を汎用品でまかなっているところだ。「ハードウェアもソフトウェアも新規に開発したものはない。また、このマルチモーダルAIロボットを組み上げて、今回のデモを実施できる段階まで3カ月程度しかかかっていないことも重要なポイントだ」(デンソーウェーブ ロボット事業部 製品企画室 室長の澤田洋祐氏)。
マルチモーダルAIロボットは多指ハンドによって不定形物を扱える。会見では、その特徴をアピールするため、タオルをたたむ、サラダを盛り付けるといった動作を自動で行うデモを披露した。タオルをたたむデモでは、一般的な機械学習で得たアルゴリズムでは難しい、作業途中の状態から作業を再開できることも示して見せた。

 「マルチモーダルAIロボット」がタオルをたたむ様子(左)。このデモにおける「認知系処理」の状況。現在の状態(ライブビュー)だけでなく、アルゴリズムによって少し先の状態を予測した予測画像も出ている(右)(クリックで拡大)
「マルチモーダルAIロボット」がタオルをたたむ様子(左)。このデモにおける「認知系処理」の状況。現在の状態(ライブビュー)だけでなく、アルゴリズムによって少し先の状態を予測した予測画像も出ている(右)(クリックで拡大)この他、VRティーチングを行う際にVRシステムを装着した教師役の作業員の動きと、ロボットの動きが同期する様子も見せた。
デンソーウェーブ社長の中川弘靖氏は「ディープラーニングでロボットを動かすという意味ではまだまだ第一歩にすぎないが、商品化に向けた出口戦略はしっかり検討していきたい。産業ロボット用途という形で前輪を回しつつ、医療や家庭向けなどにも展開できれば」と述べている。
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